カイサリアの港には、いつもより濃い塩の香りが漂っていた。午後の炎暑が石畳に蓄えら…
エルサレムの都は、過越しの祭りを前にして、一種独特の熱気に包まれていた。路地には…
山の空気は鋭く冷たく、登るにつれて足元の小石がごろごろと音を立てた。ペトロは息を…
夜明け前の静けさが、神殿の廃墟を包んでいた。冷たい石の残骸の間を、ゼカリヤの足音…
その日、ベテルへの巡礼の道は、埃と悔い改めの言葉でいっぱいだった、と後に人は語っ…
夕暮れが、バビロンの捕囚の地に暮らす人々の粗末な家々を、長い影で覆い始めていた。…
エルサレムの南、ヒンノムの谷を見下ろす高台に立つと、風が変わることがある。乾いた…
七月の穂の香りが、ミツパの丘に漂っていた。刈り入れがほぼ終わり、町は一時の平穏に…
夕暮れがエルサレムの石壁を鈍い赤に染めていた。丘の上にひとり佇む男の影が、だらり…
その日、風は東から吹いてきた。砂埃が渦を巻き、バビロンの煉瓦造りの家々の間を、う…