聖書

ダン族の探検と新しい領地の獲得

さて、イスラエルの部族の中にダン族という部族がありました。ダン族は、他の部族と比べて領地が狭く、自分たちの住むべき場所を見つけるために探検隊を送り出すことにしました。その頃、イスラエルには王がなく、人々はそれぞれ自分の目に正しいと見えることを行っていました。

ダン族は、族の中から五人を選び、偵察のために送り出しました。彼らは、北の地域を探し、住むにふさわしい土地を見つける使命を帯びていました。五人組は、エフライムの山地を通り、ミカという男の家にたどり着きました。ミカは、自分の家に神像とエポデ(祭司の衣)を作り、一人のレビ人を祭司として雇っていました。そのレビ人は、ユダのベツレヘム出身で、ダン族の探検隊がミカの家に来た時、ちょうどそこに滞在していました。

探検隊は、ミカの家に泊まり、その家にいるレビ人に神の御心を尋ねました。「私たちの旅は成功するでしょうか?」と彼らは尋ねました。レビ人は、「安心して行きなさい。主があなたがたの旅を見守っておられる」と答えました。彼らはその言葉を信じ、さらに北へと進みました。

やがて、彼らはレアイムという町に到着しました。そこはシドン人の町で、人々は平和に暮らしており、守りも手薄でした。ダン族の探検隊は、この土地が自分たちにふさわしいと感じ、仲間たちに報告するために帰路につきました。

ダン族の族長たちは、探検隊の報告を聞き、すぐに戦士たちを集めてレアイムを攻めることにしました。六百人の戦士が武装し、ユダのキルヤテ・ヤリムを出発しました。彼らはミカの家の近くに陣を張り、そこにいた若者たちに道を尋ねました。その若者たちは、ミカの家にいたレビ人であり、彼らはミカの家にあった神像とエポデ、そして鋳物の像を持ち出しました。

レビ人は、ダン族の戦士たちに「あなたがたは何をしているのですか?」と尋ねました。すると、ダン族の戦士たちは「黙っていなさい。私たちと一緒に来て、私たちの祭司となりなさい。一人の家の祭司であるよりも、一族全体の祭司となる方が良いではないか」と言いました。レビ人はその言葉に心を動かされ、彼らと共に行くことを決めました。

ミカは、家に戻ると、神像と祭司がいないことに気づき、急いでダン族の後を追いました。彼は彼らに追いつき、「あなたがたは私の神像と祭司を奪っていった。私には何が残っているというのか」と叫びました。ダン族の戦士たちはミカに言いました。「私たちに文句を言うな。さもないと、怒りに任せてあなたを殺すかもしれない」。ミカは彼らの数と力を見て、恐れをなし、家に引き返しました。

ダン族はレアイムに到着すると、その町を攻め、住民を打ち倒しました。彼らは町を焼き払い、再建し、そこに住み着きました。そして、その町の名を「ダン」と改めました。これは、彼らの先祖ダンにちなんで名付けられたものです。

ダン族は、ミカの家から奪った神像をダンの町に据え、レビ人を祭司として立てました。そのレビ人は、モーセの子ゲルショムの子孫であり、彼とその子孫はダン族の祭司として長く仕えることになりました。

このようにして、ダン族は自分たちの領地を得ましたが、彼らは主の律法に従うよりも、自分たちで作った神像を礼拝するようになりました。これは、イスラエルがまだ王を持たず、それぞれが自分の目に正しいと見えることを行っていた時代のことでした。

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