聖書

荒野での試み:イエスと悪魔の対決

イエスが荒野で試みを受ける物語は、マタイによる福音書第4章に記されています。この物語は、イエスが公の生涯を始める前に、悪魔からの誘惑に直面し、神の言葉によって勝利する姿を描いています。以下に、その物語を詳細に描いてみましょう。

### 荒野での試み

イエスは、ヨルダン川でバプテスマを受けた後、聖霊に導かれて荒野へと向かわれました。その荒野は、荒涼とした地で、風が砂を巻き上げ、太陽が容赦なく照りつける場所でした。イエスはそこで四十日間、断食をされました。その間、一滴の水も口にせず、一粒のパンも食べられませんでした。四十日が過ぎたとき、イエスは空腹を覚えられました。

その時、誘惑する者がイエスの前に現れました。悪魔は、イエスの弱さを見透かすかのように、巧みな言葉で近づいてきました。

「もしあなたが神の子であるなら、これらの石がパンになるように命じなさい。」

悪魔は、イエスの空腹を利用して、神の子としての力を試そうとしました。しかし、イエスは静かに、しかし力強く答えられました。

「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つの言葉による』と書いてある。」

イエスは、神の言葉を引用して、悪魔の誘惑を退けられました。悪魔は一度目をくらまされましたが、諦めずに再びイエスを試みようとしました。

次に、悪魔はイエスを聖なる都エルサレムに連れて行き、神殿の頂に立たせました。そして、嘲るような笑みを浮かべながら言いました。

「もしあなたが神の子であるなら、ここから飛び降りてみなさい。『神は御使いたちにあなたのために命じると、彼らはあなたを手で支え、あなたの足が石に打ち当たることのないようにする』と書いてあるからです。」

悪魔は、聖書の言葉を歪めて、イエスを誘惑しようとしました。しかし、イエスは再び静かに、しかし確固たる態度で答えられました。

「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある。」

イエスは、神を試すことの愚かさを指摘し、悪魔の誘惑を退けられました。悪魔は二度も失敗し、焦りを隠せない様子でしたが、最後の手段に出ようとしました。

今度は、悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世界中の国々とその栄華を見せました。そして、悪魔はイエスに言いました。

「もしあなたがひれ伏して私を拝むなら、これらすべてのものをあなたに与えましょう。」

悪魔は、この世の富と権力をちらつかせて、イエスを誘惑しようとしました。しかし、イエスはその誘惑に動じることなく、厳しい声で言われました。

「サタンよ、退け。『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ』と書いてある。」

イエスは、神だけを礼拝し、仕えるべきであることを宣言し、悪魔の最後の誘惑をも退けられました。悪魔は、もはや何も言えず、イエスの前から去って行きました。

すると、天使たちがやって来て、イエスに仕えました。彼らは、イエスが荒野での試みに勝利されたことを祝い、神の御心が成し遂げられたことを喜びました。

この物語は、イエスが悪魔の誘惑に打ち勝ち、神の言葉に従い続ける姿を描いています。イエスは、私たちの模範として、どのような試みにも神の言葉によって立ち向かうことを教えてくださっています。この出来事を通して、私たちもまた、困難な状況の中で神の言葉に信頼し、誘惑に打ち勝つ力を得ることができるのです。

LEAVE A RESPONSE

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です