聖書

エルサレム陥落とバビロン捕囚の物語

### エルサレムの陥落とバビロン捕囚

ユダの王ゼデキヤの治世第九年、第十の月の十日、バビロンの王ネブカデネザルは全軍を率いてエルサレムに攻め上り、城壁の周りに陣を敷いた。彼らは町を包囲し、塁を築いて攻撃を開始した。エルサレムの町は完全に包囲され、兵士たちは町の外からの食糧の供給を絶たれ、飢餓が町中に広がっていった。人々は苦しみ、日々の糧を得ることも難しくなり、町は絶望に包まれた。

ゼデキヤ王はこの危機に直面し、エジプトに助けを求めたが、その助けは来なかった。バビロンの軍勢は日に日に強くなり、エルサレムの城壁は崩れ始めた。ゼデキヤは自分の家臣たちと共に夜陰に乗じて町を脱出し、アラバの方向へ逃げようとした。しかし、バビロンの軍勢は彼らを追い詰め、エリコの荒野で捕らえた。ゼデキヤは連行され、リブラでバビロンの王の前に引き出された。

ネブカデネザルはゼデキヤの目の前で彼の息子たちを殺し、さらにユダの貴族たちも処刑した。その後、ゼデキヤの両目をえぐり出し、彼を青銅の鎖で縛ってバビロンへ連れて行った。ゼデキヤは盲目のまま、バビロンの牢獄に閉じ込められ、死ぬまでそこで過ごすこととなった。

一方、エルサレムではバビロンの軍勢が町に侵入し、略奪と破壊を開始した。彼らは主の神殿、王宮、そして町中の大きな家々を火で焼き払った。城壁も破壊され、エルサレムは廃墟と化した。バビロンの軍勢は町中の財宝を奪い、神殿の金や銀の器、祭具などもすべて持ち去った。彼らは神殿の青銅の柱や海、台座などを砕き、その青銅をバビロンへ運んだ。

さらに、バビロンの軍勢はエルサレムの住民を捕虜として連行した。祭司長セラヤ、副祭司ゼパニヤ、門衛の長、兵士の指揮官、王の側近、そして町の職人や鍛冶屋など、多くの人々が捕らえられ、バビロンへ連れて行かれた。彼らはバビロンの地で捕囚の民として生きることとなった。

エルサレムは荒廃し、ユダの地はバビロンの支配下に置かれた。ネブカデネザルはユダの地に残った貧しい人々を農民として働かせ、ぶどう畑や畑を耕させた。また、彼はユダの地の総督としてゲダリヤを任命した。ゲダリヤはミツパに住み、残されたユダの人々を治めた。

しかし、ゲダリヤの治世も長くは続かなかった。イシュマエルという者が王族の血を引く者たちを率いてゲダリヤを殺害し、ミツパにいたユダの人々やバビロンの兵士たちも殺した。この事件を知った残りの民は恐怖に駆られ、エジプトへ逃げて行った。こうして、ユダの地はさらに荒廃し、かつて栄えたエルサレムは廃墟のまま放置された。

このようにして、ユダの民はバビロン捕囚という苦難の時代を迎えることとなった。彼らは異国の地で主の言葉を思い出し、悔い改め、主に立ち返ることを学ぶこととなった。主は彼らを罰したが、同時に彼らを再び導き、約束の地に戻すことを約束されていた。ユダの民はこの苦難を通して、主の御心に従い、信仰を深めることとなったのである。

LEAVE A RESPONSE

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です