エレミヤ書42章に基づく物語を、詳細で生き生きとした描写を用いて、神学的な正確さを保ちながらお伝えします。
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ユダの地は荒廃し、人々の心は不安と恐怖に満ちていました。バビロンの王ネブカデネザルによってエルサレムが陥落し、多くの人々が捕囚として連れ去られ、残された者たちは荒れ果てた町と焼け野原を見つめるしかありませんでした。その中には、軍の司令官であるヨハナンや、カレアハの子アザルヤ、そして他の将校たちも含まれていました。彼らは、残された民のリーダーとして、どうすれば良いのか途方に暮れていました。
「このままここに留まるべきか、それともエジプトに逃れるべきか…」
ヨハナンは仲間たちと共に、この重大な決断を下すために集まっていました。彼らは、神の御心を知りたいと強く願っていました。しかし、彼らの心には既にエジプトへ逃れるという選択肢が強く浮かび上がっていました。エジプトは豊かで、バビロンの脅威から遠く離れた安全な場所のように思えたのです。
「神の預言者エレミヤに尋ねよう。彼は神の言葉を伝える者だ。彼を通して、私たちの進むべき道を知ることができるだろう。」
ヨハナンはそう提案し、他の者たちもそれに同意しました。彼らはエレミヤのもとへ行き、こう言いました。
「どうか、私たちのために主に祈ってください。私たちは残された者の中でもわずかな者です。あなたは私たちの目に良いと見えることをすべて、主なる神が私たちに示してくださるように、祈ってください。私たちはあなたの声に従います。たとえそれが厳しいことであっても、私たちは主の声に耳を傾け、従います。」
エレミヤは彼らの言葉を聞き、彼らの心からの願いを感じ取りました。彼は彼らにこう答えました。「あなたがたの願いを聞いた。私はあなたがたのために主に祈り、あなたがたが求めるすべてのことを主が示してくださるように願おう。」
十日後、エレミヤは再び彼らのもとにやって来ました。彼の顔は神の言葉を受けた者特有の厳粛さに包まれていました。ヨハナンと他の者たちは緊張しながらも、神の答えを待ち望んでいました。
「主はこう言われる。」
エレミヤの声は静かながらも力強く、彼ら全員の心に響きました。
「もしあなたがたがこの地に留まるなら、私はあなたがたを建て直し、倒れないようにする。私はあなたがたに災いではなく、平安を与える。あなたがたをこの地に植え、あなたがたを恐れさせたバビロンの王の怒りから救う。私はあなたがたと共にあり、あなたがたを救い、彼の手からあなたがたを解き放つ。」
エレミヤの言葉は、彼らが望んでいた答えとは異なるものでした。彼らはエジプトへの逃避を望んでいましたが、神は彼らにこの地に留まるように命じていたのです。しかし、エレミヤの言葉は続きました。
「しかし、もしあなたがたが『この地に留まることはできない』と言い、エジプトに行こうとするなら、あなたがたが恐れている剣はあなたがたに追いつき、エジプトの地であなたがたを捕らえる。飢饉はあなたがたを追いかけ、エジプトであなたがたは死ぬ。エジプトに行こうとするすべての者は、剣と飢饉と疫病によって死ぬ。私が彼らに災いを与えるので、彼らは生き残ることができない。」
エレミヤの言葉は厳しいものでしたが、それは神の愛と正義に満ちた警告でした。神は彼らに、この地に留まることによって平安と繁栄を与えることを約束していました。しかし、彼らが自分の判断でエジプトに逃れるなら、その選択は彼らを滅びに導くことになるというのです。
ヨハナンと他の者たちは、エレミヤの言葉を聞いて動揺しました。彼らは心の中で葛藤していました。神の言葉に従うべきか、それとも自分の判断でエジプトに逃れるべきか。彼らの心には、神の言葉よりも、目の前の恐怖が大きく映っていました。
「私たちはエジプトに行くことに決めた。」
ヨハナンはついにそう言いました。彼の声には決意が込められていましたが、その裏には神の言葉に背くことへの不安も隠されていました。
エレミヤは彼らを見つめ、深い悲しみを感じました。彼は彼らに最後の警告を発しました。「あなたがたは神の言葉に背き、自分の判断で行動しようとしている。その結果、あなたがたは災いを招くことになる。主はあなたがたに平安を与えようとしているのに、あなたがたはそれを拒んでいる。」
しかし、彼らの心は既に固まっていました。彼らはエジプトへの逃避を選び、神の言葉に従うことを拒んだのです。
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この物語は、神の言葉に従うことの重要性と、自分の判断で行動することの危険性を教えています。神は私たちに最善の道を示してくださいますが、私たちがその声に耳を傾け、従うかどうかは私たちの選択にかかっています。エレミヤ書42章は、神の導きに信頼することの大切さを深く思い起こさせてくれる物語です。