ダニエル書第1章に基づく物語
バビロンの都は、その栄華と権力を誇り、世界の中心として輝いていた。ネブカデネザル王は、その強大な力でユダの国を征服し、エルサレムの神殿を破壊した。彼は、ユダの王族や貴族の中から、若くて聡明な者たちを選び、バビロンに連れて行き、彼らをバビロンの文化と知識に精通させようとした。
その中に、ダニエルという名の若者がいた。彼はユダの貴族の出身で、容姿端麗で知恵に富み、神の祝福を受けた者であった。ダニエルは、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤという三人の友人と共に、バビロンの宮廷に連れて来られた。彼らは、バビロンの王の食卓で食べることを命じられたが、ダニエルは心に決めていた。彼は、主なる神に従い、異教の食物で自分を汚すことを拒んだ。
ダニエルは、宮廷の管理者であるアシュペナズに近づき、こう言った。「どうか、私たちに試してください。十日間、私たちに野菜と水だけを与えてください。そして、私たちの顔色と、王の食卓の食物を食べる他の若者たちの顔色とを比べてください。あなたの判断に従います。」
アシュペナズは、ダニエルの決意に驚き、また彼の信仰に感心した。彼はダニエルの願いを聞き入れ、十日間の試みを許可した。十日後、ダニエルとその友人たちの顔色は、他の若者たちよりも健康で、輝いていた。彼らの体は強く、知恵と理解力も増していた。
アシュペナズはこの結果を見て、驚嘆した。彼は、ダニエルとその友人たちに、王の食卓の食物ではなく、野菜と水を与えることを続けることにした。神は、ダニエルとその友人たちに知恵と知識を授け、彼らはバビロンのすべての学者や魔術師よりも優れた能力を示した。
三年後、ネブカデネザル王は、彼らを呼び出し、彼らの知識と知恵を試した。王は、ダニエルとその友人たちが、他のどの若者よりも優れていることを認め、彼らを宮廷の高官として任命した。神は、ダニエルに夢と幻を解く特別な能力を与え、彼は王の信頼を得て、バビロンの重要な問題を解決する者となった。
ダニエルとその友人たちは、異国の地にあっても、主なる神に忠実であり続けた。彼らの信仰と従順は、神の祝福を受け、彼らはバビロンの宮廷で栄えることができた。この物語は、神に従う者たちが、どのような状況にあっても、神の守りと導きを受けることができることを示している。