聖書

ヨルダン川の奇跡:神の約束と導き

ヨシュア記3章に基づく物語を、詳細で生き生きとした描写を用いて、神学的な正確さを保ちながら語ります。

ヨルダン川のほとりには、イスラエルの民が集まっていました。彼らは長い旅路を経て、ついに約束の地カナンの入り口に立っていました。しかし、彼らの目の前には、春の雨で増水したヨルダン川が広がっていました。川の流れは激しく、水かさも増しており、人間の力では渡ることができないほどでした。民は不安と期待が入り混じった表情を浮かべながら、ヨシュアの指示を待っていました。

ヨシュアは主の言葉を民に伝えました。「あなたがたは、主の契約の箱を祭司たちが担ぎ、あなたがたに先立って進むのを見るでしょう。その時、あなたがたもその後に続きなさい。しかし、契約の箱とあなたがたとの間には、約二千キュビトの距離を保ちなさい。それに近づいてはならない。これは、あなたがたが進むべき道を知るためである。あなたがたはこれまでに通ったことのない道を行くからである。」

民はヨシュアの言葉に耳を傾け、主の導きに従う決意を新たにしました。祭司たちは主の契約の箱を担ぎ、民の先頭に立ちました。契約の箱は、神の臨在の象徴であり、その中には十戒が刻まれた石の板が収められていました。祭司たちの足取りは重々しく、しかし確信に満ちていました。彼らは神の力に信頼し、前進しました。

民は祭司たちの後ろに続き、契約の箱との間に距離を保ちながら進みました。彼らの心には、神の約束に対する信頼と、未知の地への期待が交錯していました。ヨルダン川の轟音が耳に響き、彼らの足取りを阻むかのように思われましたが、彼らは一歩一歩、確実に前進しました。

祭司たちがヨルダン川の岸に立つと、彼らの足が水に触れた瞬間、驚くべきことが起こりました。上流から流れてくる水が突然せき止められ、川の流れが完全に止まったのです。水は遠くの町アダムの方に積み上がり、川床は乾いた地となりました。民は目を疑いながらも、神の力強い御手の働きを目の当たりにし、畏敬の念に打たれました。

祭司たちは契約の箱を担いだまま、ヨルダン川の乾いた川床に足を踏み入れました。民は祭司たちの後ろに続き、約束の地に向かって進みました。彼らの足元は乾いており、一滴の水も感じられませんでした。これは、かつてモーセが紅海を分けた時と同じく、神の力による奇跡でした。

全イスラエルの民がヨルダン川を渡り終えると、ヨシュアは民に命じました。「ヨルダン川から石を十二個取り、民の部族の数に応じて、それぞれ一つずつ持ち帰りなさい。これは、あなたがたの子孫がこの奇跡を覚え、主があなたがたと共におられ、あなたがたのために力を尽くされたことを知るためのしるしとなる。」

民はヨシュアの指示に従い、ヨルダン川の川床から十二個の石を取り、宿営地に運びました。これらの石は、神の力強い御手の働きを永遠に覚えるための記念として、後に立てられました。

この日、イスラエルの民は、神の約束が真実であり、神が彼らと共におられることを確信しました。彼らはヨルダン川を渡り、約束の地に入るための第一歩を踏み出したのです。この奇跡は、神が彼らの前に立ち、彼らの道を開かれることを示していました。民は心から主を賛美し、これから始まる新しい旅路に希望を抱きました。

この物語は、神の約束に対する信頼と、神の力強い導きを描いています。ヨシュア記3章の出来事は、イスラエルの民が神の約束に従い、信仰をもって前進する姿を象徴しています。神は彼らの前に立ち、不可能と思える状況でも道を開かれる方であることを示しています。

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