ある日のこと、イスラエルの民はシナイ山のふもとに集まっていました。主なる神はモーセを通して、彼らに語りかけました。その声は雷のように響き渡り、山々をも震わせるほどでした。主は民に、契約の言葉を告げられました。それは、彼らが従うべき掟と、その掟に従った時に与えられる祝福、そして逆らった時に下る呪いについてのものでした。

主は言われました。「もしあなたがたがわたしの掟に従い、わたしの戒めを守り、それらを行うならば、わたしはあなたがたに豊かな雨を降らせ、地はその産物を豊かに与えるでしょう。あなたがたの麦打ちはぶどうの収穫の時まで続き、ぶどうの収穫は種まきの時まで続く。あなたがたは満ち足りてパンを食べ、安らかにその地に住むことができる。」

主はさらに続けられました。「わたしはあなたがたに平和を与え、あなたがたは恐れることなく眠ることができる。わたしは地から獣を除き、剣があなたがたの地を通り過ぎることもない。あなたがたは敵を追い払い、彼らはあなたがたの前で剣によって倒れる。あなたがたのうちの五人で百人を追い払い、百人で万人を追い払うことができる。わたしはあなたがたを顧み、あなたがたを増やし、あなたがたとの契約を確立する。」

しかし、主は警告もされました。「もしあなたがたがわたしに聞き従わず、これらの戒めをすべて行わないならば、わたしはあなたがたにこれらのことを行う。わたしはあなたがたに恐怖を与え、肺病と熱病をもたらし、あなたがたの目を衰えさせ、あなたがたの命を弱らせる。あなたがたは種を蒔いても無駄になる。敵がそれを食べるからだ。わたしはあなたがたに敵意を向け、あなたがたは敵の前で打ち負かされる。あなたがたを憎む者があなたがたを支配し、あなたがたは追い散らされて逃げるが、追いかける者はいない。」

主の言葉は厳しいものでしたが、それは民が神の道から外れないようにするためのものでした。主は続けて言われました。「もしあなたがたがこれらの懲らしめを受けても、わたしに立ち返らず、わたしに逆らうならば、わたしもあなたがたに逆らい、あなたがたの罪のために七倍も懲らしめる。わたしはあなたがたの誇る力を打ち砕き、あなたがたの天を鉄のように、地を青銅のようにする。あなたがたの力は無駄に費やされ、地はその産物を出さず、地の木はその実を結ばない。」

主の言葉はますます厳しくなりました。「もしあなたがたがわたしに逆らい続けるならば、わたしはあなたがたの罪のために七倍も懲らしめを加える。わたしはあなたがたのうちに野の獣を送り、それはあなたがたの子供を奪い、あなたがたの家畜を滅ぼし、あなたがたの数を減らす。あなたがたの道は荒れ果てる。」

しかし、主は民に希望も与えられました。「それでも、もしあなたがたがわたしに立ち返り、わたしの戒めに従うならば、たとえあなたがたが地の果てに追いやられていても、わたしはあなたがたを集め、あなたがたを再びこの地に連れ戻す。わたしはあなたがたを顧み、あなたがたを増やし、わたしの契約を確立する。あなたがたは敵の土地にいても、わたしは彼らを拒む。わたしはあなたがたと共に歩み、あなたがたの神となり、あなたがたはわたしの民となる。」

主の言葉は、民にとって厳しい警告でありながらも、悔い改めと従順への招きでもありました。主は彼らを愛し、彼らが正しい道を歩むことを願っておられたのです。民はその言葉を聞き、心に刻みました。彼らは主の戒めに従い、その祝福を受けることを願い、また逆らった時の呪いを恐れました。

このようにして、主はイスラエルの民に、契約の祝福と呪いを明らかにされました。それは、彼らが神の民として生きるための指針であり、彼らの信仰と従順を試すものでした。主の言葉は、彼らの心に深く刻まれ、彼らの歩みを導く光となったのです。