**士師記10章に基づく物語**
ユダの山地からヨルダン川の東に広がるギレアドの地まで、イスラエルの民は再び主の目に悪と映ることを行っていた。彼らは、周囲の異国の神々に心を惹かれ、バアルやアシュタロテといった偶像にひれ伏した。主はこれを見て、深く嘆かれ、怒りを燃やされた。
「お前たちはわたしを捨て、他の神々に仕えた。それならば、わたしもお前たちを救うことはしない。」
主の声は雷のようにイスラエルの民に響き渡った。彼らはようやく自らの愚かさに気づき、恐怖に震えた。アモン人やペリシテ人らが国境を脅かし、町々を焼き払い、女や子供たちを捕虜として連れ去っていった。イスラエルの民は苦しみのうちに主に叫び、悔い改めた。
「私たちは罪を犯しました。主よ、どうかお赦しください。今、私たちを救ってください!」
彼らの叫びは天に届き、主の心は動かされた。しかし、主はなおも彼らを試された。
「お前たちはエジプトの神々、アモリ人の神々にすがった。それでも、わたしはお前たちを救い出した。しかし、お前たちは再びわたしを捨てた。もう自分たちが選んだ神々に救いを求めよ。」
民はさらに必死に祈り、異教の偶像を捨て、ただ主のみに仕えることを誓った。彼らは悔い改めの証として、外国の神々の像を粉々に砕き、主の前にひざまずいた。
主は彼らの心の変化を見て、憐れみをかけられた。
「よろしい。わたしは再びお前たちを救おう。」
こうして、主はイスラエルに士師を立て、敵の手から彼らを救い出される準備をされた。ギレアドの地には、やがて勇者エフタが現れ、アモン人との戦いを導くことになるが、それはまた別の物語である。
この時、イスラエルの民は主の慈しみと厳しさの両方を知った。彼らは、主が真実に悔い改める者を決して見捨てられない方であることを悟ったのである。