**ヨブ記 第9章**
ある日のこと、ウズの地に住むヨブは、三人の友人たちと深い議論を交わしていました。苦しみと試練の中にあって、ヨブは神の正義と人間の無力さについて思いを巡らせていました。彼は顔を上げ、遠く広がる空を見つめながら、静かに語り始めました。
「確かに、私は神の前に正しいと認められることができない。たとえ私が自分の義を主張しても、神は私の訴えに答えてくださらない。神は知恵と力に満ち、誰もその怒りに耐えることはできない。もし神が怒りを表されれば、山々も根こそぎ引き抜かれる。地を揺るがし、その基を震わせられる方だ。」
ヨブの声は重く、苦渋に満ちていました。彼は自分の無力さを痛感しながらも、神の偉大さを思わずにはいられませんでした。
「神は太陽に命じて昇らせず、星々を封じ込められる。天を独りで広げ、海の波を踏みつけられる方だ。北斗七星もオリオン座も、神の御手によって造られた。神は計り知れない奇跡を行い、その業は数えきれない。」
ヨブは目を閉じ、神の創造の御業を心に描きました。広大な海、そびえ立つ山々、果てしない星空――それらすべてが神の御手によって造られたことを思うと、彼の心は畏れに満たされました。
「もし神が私の前に現れても、私はそれを見ることができない。神は風のように通り過ぎ、姿を現さず、ただその存在を感じさせるだけだ。もし神が裁きのために私を召し出されれば、私は何と答えることができようか。たとえ私が正しくても、神の前では口をつぐむしかない。」
ヨブの言葉には深い絶望がにじんでいました。彼は神の前で自分がどれほど小さく、無力であるかを悟っていたのです。
「たとえ私が自分を清め、汚れのない者となったとしても、神は私を泥の中に投げ込まれる。私の衣さえも私を汚すとおっしゃるだろう。神は人と同じではない。私には神と争う力も、裁きの場に共に立つこともできない。」
彼はため息をつき、地面に座り込みました。友人たちは黙って彼の言葉に耳を傾けていました。ヨブの心は混乱し、苦しみでいっぱいでしたが、それでも彼は神を否定しませんでした。
「神の前に立つ仲裁者はいない。神の御手は私にも、あなたがたにも等しく重い。神が災いを与えられれば、誰がそれを止められるだろうか。神の御心は測りがたく、その計画は誰にも理解できない。」
ヨブは震える手で顔を覆いました。彼は神の偉大さと、自分を含む人間の儚さを深く感じていました。
「たとえ私が勇気を出して神に訴えたとしても、神は私の言葉に耳を傾けてくださらない。嵐の中に私を打ち砕き、理由もなく傷を増し加えられる。私は息をする暇も与えられず、苦しみで満たされるだけだ。」
彼の声は次第に弱まり、涙が頬を伝いました。それでもヨブは神を呪わず、ただその御前にひれ伏すしかなかったのです。
「神が力強い方なら、私はどうして争えるだろうか。たとえ私が正しくても、私は自分を裁く方に訴えることしかできない。しかし、裁きを求めて叫んでも、神は答えてくださらない。」
ヨブは静かにうなだれ、友人たちもまた沈黙のうちに彼の苦しみを分かち合いました。彼らはヨブの言葉に神への畏れを感じ、人間の限界を悟ったのです。
こうしてヨブは、神の前での人間の無力さと、それでもなお神に信頼を置くことの難しさを深く考え続けたのでした。