**復活の朝**
夜明け前、まだ薄暗い空に星々がかすかに光る頃、一人の天使が天から降りてきた。その姿は稲妻のように輝き、衣は雪のように白く、その栄光に満ちた存在は、見る者すべてを畏れさせた。天使は、イエスの遺体が安置されている墓の入口にある大きな石に近づき、軽々とそれを転がしのけた。そして、その石の上に座った。
墓を守っていたローマの兵士たちは、その光景に震え上がり、恐怖のあまり石のように固まってしまった。彼らはこれまでにないほどの神の力を見せつけられ、気を失う者もいた。
やがて、東の空がほんのりと明るくなり始めたころ、マグダラのマリアと、もう一人のマリア(ヤコブの母)が、イエスの遺体に香料を塗るために墓を訪れた。二人は途中で、「だれが墓の入口の大きな石を転がしてくれるだろうか」と心配しながら話し合っていた。しかし、到着してみると、石はすでにどけられ、墓の入口は開いていた。
不安と驚きに胸を騒がせながら、二人が墓の中を覗き込むと、そこには白く輝く天使が座っていた。天使は彼女たちに言った。
「恐れることはない。あなたがたが十字架につけられたイエスを捜しているのを知っている。しかし、イエスはここにはおられない。約束どおり、復活なさったのだ。さあ、イエスが安置されていた場所を見なさい。そして、急いで弟子たちのところに行き、『イエスは死者の中からよみがえられた。そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれる。そこでお会いできるであろう』と伝えなさい。よく覚えておくのだ。これはわたしからあなたがたへの知らせである。」
二人の女は、恐れと大きな喜びに満たされ、急いで弟子たちに知らせに行った。
その途中、突然、イエスご自身が彼女たちの前に現れた。「おはよう」と優しく声をかけられた。彼女たちはすぐにイエスだと悟り、ひれ伏してその足を抱き、礼拝した。するとイエスは言われた。
「恐れることはない。行って、わたしの兄弟たちに、ガリラヤに行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのだ。」
一方、墓を守っていた兵士たちのうち、意識を取り戻した者たちは、町に戻り、起こったことを祭司長たちにすべて報告した。祭司長たちは長老たちと集まって協議し、兵士たちに多額の賄賂を与えてこう言った。
「『夜中に我々が眠っている間に、弟子たちがやって来て遺体を盗んで行った』と言いなさい。もしこの話が総督の耳に入っても、我々がうまく取り計らってやるから心配するな。」
兵士たちは金を受け取り、教えられたとおりに話した。この嘘が、ユダヤ人の間で広まり、今日まで語り継がれている。
一方、十一人の弟子たちはガリラヤに行き、イエスが指定された山に登った。そして、イエスが現れると、彼らは礼拝した。しかし、中にはまだ疑いを抱く者もいた。
イエスは彼らに近づき、こう宣言された。
「わたしには天においても、地においても、すべての権威が与えられている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子としなさい。彼らに父と子と聖霊の名によってバプテスマを授け、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように教えなさい。見よ、わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいる。」
こうして、イエスは天に昇られた。弟子たちはこの言葉を胸に刻み、力強く宣教の旅へと出て行った。復活の主の約束は、今もすべての信じる者と共にある。