聖書

「ダビデの賛美:主の慈しみと真実の約束」

**詩篇138編に基づく物語:主の慈しみと真実の約束**

ある日のこと、エルサレムの都は朝もやに包まれ、金色の陽光が神殿の屋根を優しく照らしていた。ダビデ王は宮殿の庭を静かに歩みながら、心に満ちる感謝を主にささげようとしていた。彼の手には小さな羊皮紙が握られており、そこにはこれから歌う賛美の言葉がしたためられていた。

「主よ、私は心を尽くしてあなたに感謝します。
御前にあって、神々に向かってあなたをほめ歌います。」

ダビデは深く息を吸い込み、目を天に向けた。彼の声は澄みわたり、宮廷の楽師たちがそれに合わせて琴や竪琴を奏で始めた。彼の賛美は単なる歌ではなく、主に対する全き信頼と、これまで導かれてきた数々の奇跡への感謝に満ちていた。

**主の慈しみと真実の約束**

かつてダビデは、敵に囲まれ、命の危険にさらされたことがあった。その時、彼は荒野の洞穴に身を隠し、夜ごと主に叫び求めた。「私が弱くとも、あなたは私を強くしてくださる。私が恐れても、あなたは私を守ってくださる。」そして主は、彼の祈りに答えた。敵の手から不思議な方法で逃れ、王として立てられたのだ。

「私はあなたの聖なる宮に向かってひれ伏し、
あなたの慈しみと真実の御名に感謝します。
あなたはあなたの御言葉を、
御名よりも高く、すべてのものの上に置かれました。」

ダビデの声は震えた。主の約束は決して変わることがない。たとえ彼が失敗し、罪を犯した時でも、主は真実をもって彼を立ち直らせてくださった。主の言葉は天の星のように確かであり、地のどんな力もそれを揺るがすことはできなかった。

**主は低い者を見上げ、高ぶる者から遠ざかられる**

賛美が進むにつれ、ダビデは思い出していた。自分がまだ羊飼いの少年だった頃、兄たちからさげすまれ、サウル王からも迫害を受けた。しかし、主はそのような低き者を顧み、油を注いでイスラエルの王とされた。

「私が呼び求める日に、あなたは答え、
私の魂に力を与えてくださいました。
主はすべての王たちがあなたに感謝し、
御言葉を聞いて歌うようにされます。」

遠くからは、諸国の使者たちがエルサレムを訪れ、ダビデの王座の前にひれ伏す姿が見えた。かつては敵だった者たちも、今では主の偉大な御業を認め、イスラエルの神をほめたたえていた。主の御手は、決して彼を見捨てず、すべての計画を完成へと導かれる。

**主の御業は永遠に続く**

賛美の最後に、ダビデは静かにうなずいた。

「主は永遠に私を守ってくださる。
主よ、あなたの御手のわざを捨て去らないでください。」

彼は確信していた。たとえこれからも戦いや苦しみが訪れようとも、主は必ずや真実をもって導いてくださる。主の慈しみは永遠であり、その約束は決して破られることがない。

こうして、ダビデの賛美は都に響き渡り、民たちも共に主をほめたたえた。神殿の香炉から立ち上る煙のように、彼らの祈りは天に届き、主の栄光がすべてを包んだ。

**終わり**

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