聖書

光の中を歩む ヨハネの第一の手紙1章の物語

**光の中を歩む:ヨハネの第一の手紙1章に基づく物語**

初めからあったもの、私たちが耳で聞き、目で見、手で触れたもの――それはいのちのことばであった。そのいのちが現れ、私たちはそれを見た。そして、その永遠のいのちについて証しし、あなたがたにも伝えるためである。このいのちは父と共にあり、私たちに現れたのだ。

エルサレムの西、夕暮れの光が細く差し込む小さな家で、ヨハネは羊皮紙にペンを走らせていた。外ではオリーブの木が風に揺れ、遠くからは祈りの声が聞こえてくる。彼の目には、かつて共に過ごしたイエスの姿が浮かんでいた。あの温かな笑顔、病人を癒す優しい手、そして十字架の上でさえも輝き続けた愛――ヨハネは深く息を吸い、インクを滲ませながら言葉を綴った。

「私たちが見、聞いたことを、あなたがたにも告げ知らせる。それは、あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためである。私たちの交わりとは、父およびその御子イエス・キリストとの交わりである。」

彼の心には、アジアの教会に散らばる兄弟姉妹たちの顔が浮かんだ。異端の教えが広がり、愛から離れる者たちがいる。彼らは闇の中を歩み、罪を軽んじていた。ヨハネの手は震えた。

「神は光であり、神のうちには闇がまったくない。もし私たちが、神と交わりがあると言いながら、闇の中を歩んでいるなら、私たちは偽りを言っているのであり、真理を行ってはいない。」

彼はかつて、ペテロと共にゲツセマネの園でイエスを見捨てた夜を思い出した。あの時、彼らは闇の中にいた。しかし、復活の朝、イエスは彼らを赦し、再び光へと招いてくださった。ヨハネの目に涙が浮かぶ。

「もし私たちが自分の罪を言い表すなら、神は真実で正しい方であるから、その罪を赦し、すべての不義から私たちをきよめてくださる。」

彼は、かつてイエスに従った百人隊長や、罪深い女のことを思い出した。彼らはただひれ伏し、罪を認めた。そして、イエスの赦しの言葉を受けたのだ。ヨハネは力強い筆致で書き続けた。

「もし、罪を犯したことがないと言うなら、私たちは自分を欺いており、真理は私たちのうちにない。しかし、もし私たちが自分の罪を告白するなら、神は私たちの罪を赦し、すべての不義から私たちをきよめてくださる。」

夜が更け、蝋燭の炎が揺らめく中、ヨハネは祈りを捧げた。この手紙が、迷える者たちを光へと導くように。彼は確信していた――イエスこそが、闇を打ち破る真の光であることを。

「私の子どもたちよ、これらのことを書くのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためである。もしだれかが罪を犯しても、私たちには父の御前でとりなす方、義なるイエス・キリストがおられる。」

ヨハネは羊皮紙を巻き、祈りを込めて封をした。この言葉が、読む者の心に届き、彼らが光の中を歩む者となるように――。

(終わり)

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