**箴言31章に基づく物語**
ある寒い冬の夜、エルサレムの郊外にある小さな村に、エリシャという名の年老いた教師が住んでいた。彼は長年にわたり、神の知恵を人々に教え、特に若者たちに正しい道を示すことを使命と感じていた。ある日、村の若者たちが彼の元に集まり、こう尋ねた。
「先生、『賢い妻はどれほど尊いものか』と箴言に書かれていますが、どういう意味でしょうか?」
エリシャは温かい笑みを浮かべ、炉辺に座りながら話し始めた。
「それなら、私が昔聞いた、ルツという名の女性の物語を話そう。」
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**ルツの物語**
モアブの地からイスラエルに移り住んだルツは、姑ナオミと共に、ベツレヘムの小さな家で慎ましく暮らしていた。夫を失った彼女たちは、貧しく、日々の糧を得るのに苦労していた。しかし、ルツは決して神への信仰を失わず、姑を支え続けた。
ある日、ルツはナオミに言った。
「母上、私が畑に出て、落ち穂を拾い集めてまいります。」
当時の習慣では、貧しい者や寄留者のために、農夫たちは収穫の際、わざと落ち穂を残すのが律法で定められていた。ルツは夜明け前に起き、一日中、炎天下で腰をかがめ、一粒一粒の麦を拾い集めた。彼女の手はやがて硬くなり、額には汗が光ったが、彼女は決して不平を言わなかった。
その畑の主人は、ボアズという裕福で信仰深い男であった。彼はある日、ルツが一心に働く姿を見て、僕たちに尋ねた。
「あの女性は誰だ?」
「モアブから来たルツです。ナオミの嫁です。朝から晩まで休まず働いています。」
ボアズは心を動かされ、ルツに近づいて言った。
「娘よ、私の畑で安心して働きなさい。僕たちに水を飲ませるなと言ってはならない。もし喉が渇いたら、彼らの水を飲み、もし空腹なら、パンを食べなさい。」
ルツは驚き、ひれ伏して言った。
「なぜ、私のような外国人に、こんなに親切にしてくださるのですか?」
ボアズは優しく答えた。
「あなたが姑のために尽くす姿を見た。主があなたの働きに報いてくださるように。」
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**賢い妻の価値**
エリシャは話を続けた。
「ルツの勤勉さと信仰は、やがてボアズの心を動かし、彼女は彼の妻となった。そして、彼らの子孫からは、ダビデ王が生まれ、さらにその末にはメシアが来られる。箴言31章に書かれた『賢い妻』とは、ただ家事に優れた女性だけを指すのではない。神を畏れ、家族を愛し、隣人に誠実である者のことだ。彼女の価値は真珠よりも尊く、夫も子も彼女を信頼する。」
若者たちは深く頷き、エリシャは最後に言った。
「だから、あなたたちも、将来の伴侶を選ぶ時、外見や富ではなく、その信仰と品性を見るがよい。神が備えてくださる者は、必ず良い実を結ぶ。」
炉の火が静かに燃え、部屋には神の知恵が満ちた。若者たちは心に決めた。
**「主を畏れる女性こそ、ほめたたえられるべきだ」と。**