聖書

「アサ王の改革と預言者アザリヤのメッセージ」

**アサの改革と預言者アザリヤの言葉**

ユダの王アサの治世第十五年のことだった。エルサレムの宮殿では、朝もやが金色の光に包まれ、王は庭園で静かに祈りをささげていた。彼の心には、祖父レハブアムや父アビヤの時代から続く偶像礼拝の罪が重くのしかかっていた。ユダの民の中には、まだバアルやアシェラへの祭壇が残り、異教の習慣が根強く残っていた。

その時、神の霊に動かされた預言者アザリヤが王の前に現れた。アザリヤは身長が高く、白い髪を風になびかせ、目には神の炎が宿っていた。彼は力強い声で王に語りかけた。

「アサ王よ、ユダとベニヤミンのすべての民よ、私の言葉を聞け。主はこう言われる。『もしあなたがたがわたしを求めるなら、わたしはあなたがたとともにいる。しかし、もしあなたがたがわたしを捨てるなら、わたしもあなたがたを捨てる。』 イスラエルの歴史を思い起こせ。かつて民が主の律法を忘れ、真の神に背いた時、彼らは戦争と混乱の中に投げ出された。しかし、苦難の中で心を尽くして主に立ち返る者には、必ず救いの手が差し伸べられたのだ。」

アザリヤの言葉は、鋭い剣のようにアサの心を貫いた。王はすぐに行動を起こした。彼はユダとベニヤミンの全土に布告を出し、遠くエフライムの山地から逃れて来た者たちにも、主の前に集まるように命じた。

人々はエルサレムに続々と集まった。その中には、異教の祭壇を打ち壊し、悔い改めた者たちもいた。アサは宮殿の前の広場に立ち、民の前で主の契約を新たにした。彼らは雄牛や羊をいけにえとしてささげ、主の前に喜びの声をあげた。

「私たちは、心を一つにして、私たちの父祖の神、主を尋ね求めます!」

民は誓いを立て、偶像を捨て、主の戒めに従うことを約束した。その熱意は国中に広がり、祭司やレビ人たちも奮い立った。彼らはユダの町々を巡り、律法を教え、民を導いた。

アサはさらに、祖母マアカが作ったアシェラの偶像を取り除き、それを燃やしてキドロンの谷で粉々にした。また、高き所の祭壇を壊し、異教の香壇を打ち砕いた。人々は王の決意に応え、主への信仰を新たにした。

こうしてユダの国には、アサの治世の間、平穏が訪れた。主が彼らに安息を与えられたからである。王は城壁を強化し、町々を守る塔を建てた。民は安心して畑を耕し、ぶどう畑から豊かな実りを得た。

しかし、アサの信仰は後に試されることになる。彼は晩年、病気になった時、医者に頼るだけで、主に助けを求めなかった。それでも、彼の若き日の改革は、ユダの歴史に深く刻まれた。アザリヤの預言は真実であり、主を求める者には、必ず報いがあったのだ。

こうして、アサの物語は、神に従うことの祝福と、忠実であり続けることの大切さを、後の世代に語り継ぐものとなった。

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