**ネヘミヤの祈り：壁の再建への使命**

ユダの地から遠く離れたペルシャ帝国の都スサ。宮殿の高い城壁の陰で、ネヘミヤは王の献酌官として日々を過ごしていた。彼はかつての故郷エルサレムのことを思うと、胸が締め付けられるような思いに駆られた。ある日、彼の兄弟ハナニと数人のユダヤ人がスサを訪れた。彼らはネヘミヤに、エルサレムの悲惨な状況を伝えた。

「捕囚から帰還した同胞たちは苦難の中にあります。エルサレムの城壁は崩れ、門は焼け落ち、敵の嘲りにさらされています。」

この言葉を聞いたネヘミヤは、地面に膝をつき、深い悲しみに沈んだ。彼の目から涙が溢れ、衣を裂き、灰をかぶって神の前にひれ伏した。彼は数日間、断食と祈りに没頭した。

「ああ、天の神、主よ。あなたは偉大で恐るべき方。あなたを愛し、あなたの戒めを守る者に契約を守り、慈しみを注がれる方。」

ネヘミヤは神の前に罪の告白を始めた。イスラエルの民が背いたこと、モーセを通して与えられた律法を破ったこと、そして今もなお、彼らが神の前に悔い改めを必要としていることを切々と訴えた。

「しかし、主よ。あなたはかつてモーセにこう告げられました。『もしあなたがたがわたしに背いても、悔い改めてわたしの戒めを守るなら、たとえ天の果てに追いやられても、わたしはあなたがたを集め、再びこの地に連れ帰ろう』と。」

ネヘミヤの祈りは熱を帯びた。彼は神の約束を思い起こし、今こそその御言葉が成就する時だと信じた。

「どうか、私が王の前に出る時に、私の言葉に恵みを与えてください。この荒廃したエルサレムの城壁を再建するために、王の心を動かしてください。」

ネヘミヤは祈りながら、一つの決意を固めた。彼は自らエルサレムに赴き、民を励まし、城壁を再建するという使命を果たす覚悟をした。彼の心には、神の御手が強く働いていることを感じた。

こうして、ネヘミヤの祈りは行動へと移される時を待っていた。彼の信仰と勇気は、やがてエルサレムの再建という偉大な業の礎となるのである。