**ティルスの滅亡と復活：イザヤ書23章の物語**

地中海の青い波が穏やかに打ち寄せるティルスの港は、かつて世界の商業の中心として栄えた。このフェニキアの都市は、その富と知恵で名高く、遠くはタルシシュ（スペイン）からも商人たちが集まり、紫の染料や貴重な香木、金銀、宝石が行き交った。王たちもここで交易し、船乗りたちは「海の女王」と称えられるティルスの繁栄を讃えた。

しかし、その栄華も神の御前には儚いものであった。主は預言者イザヤを通して、ティルスに対する裁きを告げられた。

「ティルスよ、嘆け。港は荒れ果て、家々は打ち捨てられる。シドンに住む者たちよ、黙せ。海の彼方から来た商人たちが、お前たちの富を奪い去った。エジプトも、この知らせを聞いて震えおののく。海の民よ、泣き叫べ。ティルスはもはや砦ではなく、その栄光は塵に帰した。」

主はかつて、ティルスを高ぶりの象徴として見られた。彼らは富を誇り、自分たちの知恵と力で永遠に栄えると思い上がっていた。しかし、神はバビロンの王ネブカドネザルを用いて、この傲慢な町を打ち砕かれる。ティルスの城壁は崩れ、港は廃墟と化し、商人たちは逃げ去った。

70年の間、ティルスは忘れ去られる。しかし、神の裁きは最終的な滅びではない。主はこう告げられる。

「70年が過ぎた後、主はティルスを再び顧みられる。彼女は再び商人たちの宿となり、その利益は主の民の前に聖なるものとされる。」

やがて時が満ち、ティルスは再建される。しかし、今やその富は神の民のため用いられる。かつての傲慢は砕かれ、人々は主こそが真の支配者であることを知る。

この物語は、富と権力に頼る者の末路と、神の正義と恵みを描く。主は高ぶる者を低くされ、悔い改める者を再び立ち上がらせてくださる。ティルスの運命は、すべての国々への警告であり、希望の約束でもある。

「地の果てのすべての者よ、主を仰ぎ見よ。あなたがたの救いがここから来る。」（イザヤ書の精神に基づく）