聖書

終わりの日の希望:テサロニケの信徒への約束

**終わりの日の謎:2テサロニケ2章の物語**

エーゲ海の風がテサロニケの町を優しく包む夕暮れ時、教会の信徒たちは不安に駆られていた。パウロから届いた最初の手紙で、主イエスの再臨とその栄光について聞かされていたが、その後、偽りの教えや混乱が広がり、多くの者が動揺していた。「主の日はすでに来た」と主張する者もいれば、迫害の中での苦しみに耐えかね、終わりの時がすぐそこまで迫っていると焦る者もいた。

そんな中、パウロはシラスとテモテと共に、再びテサロニケの教会に手紙を送ることにした。羊皮紙を広げ、インクを硯に溶かしながら、彼は祈りを込めて筆を執った。

**「兄弟たちよ、主イエス・キリストの来臨と、私たちがそのみもとに集められることについて、すぐにでも思い乱れたり、心を騒がせたりしないでほしい。」**

パウロの言葉は力強く、しかし慈愛に満ちていた。彼は、終わりの時が来る前に必ず起こるべきことを明らかにしなければならなかった。

**「まず、背教が起こり、不法の者、すなわち滅びの子が現れなければなりません。彼はすべて神と呼ばれるもの、礼拝されるものに反抗し、自分を神以上の者として、神の宮に座を設け、自分こそ神であると宣言するのです。」**

パウロの目には、かつてエルサレム神殿を汚したアンティオコス・エピファネスの姿や、将来現れる恐るべき反キリストの姿が浮かんでいた。その者はサタンの力によって偽りのしるしと奇跡を行い、真理を愛さない者たちを惑わす。しかし、神の民は覚えていなければならない──主はその者を「御自身の口の息」をもって滅ぼし、再臨の光で打ち砕かれるのだ。

**「そして今、あなたがたが知っているように、彼が現れるのを阻んでいるものがあります。それが取り除かれる時、不法の者は現れるでしょう。」**

この謎めいた言葉に、テサロニケの信徒たちは深く考え込んだ。パウロは、神の正義が最終的に勝利するまで、悪の力は完全には解き放たれないことを示していた。ローマ帝国の秩序か、天使の力か、教会の存在か──いずれにせよ、神の御手の中ですべてが支配されていた。

**「しかし主は忠実な方です。あなたがたを強め、悪い者から守ってくださいます。」**

パウロは最後に、彼らが教えられた真理に堅く立ち、主の恵みと慰めに希望を置くよう励ました。偽りの教えに惑わされず、善に満ちた働きと信仰に生きるようにと。

手紙が届くと、テサロニケの信徒たちは安堵のため息をついた。彼らは再び集まり、パウロの言葉を読み、祈り、主の約束を信じて待ち望む決意を新たにした。終わりの日には確かに艱難が訪れるが、それ以上に、主イエスの栄光に満ちた再臨が約束されていた。

そして、エーゲ海の向こうから昇る朝日のように、彼らの心にも確かな希望がよみがえった。**「主は真実な方。あなたがたをも堅く立たせ、守ってくださる。」**──この約束こそが、嵐の時代を生きる聖徒たちの不滅のよりどころであった。

LEAVE A RESPONSE

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です