**ネヘミヤ記12章に基づく物語**

エルサレムの城壁が完成し、神の民は喜びに満ちあふれていた。ネヘミヤは、祭司とレビ人たちを集め、神への感謝と奉献の儀式を執り行うことを決めた。この日は、イスラエルの歴史に残るほどの盛大な祝いの日となるはずだった。

朝もやがまだ残る中、祭司たちは純白の亜麻布の衣をまとい、頭には聖なる冠をかぶり、神の前に整列した。彼らの姿は、まるで天からの光に包まれたようで、周囲に集まった民は畏敬の念に打たれた。大祭司エシュアとゼルバベルは、黄金の香炉を手に取り、聖所の前に進み出た。甘い香りの煙が立ち上り、神への祈りとともに天に昇っていく。

レビ人たちもまた、シンバル、琴、立琴を持ち、喜びの歌を歌い始めた。その歌声は城壁の上に響き渡り、遠くの谷にまでこだました。アサフの子孫である歌い手たちは、ダビデ王の時代から伝わる賛美を力強く歌い上げた。

**「主に感謝せよ。その慈しみはとこしえまで。
　イスラエルを贖われた主をほめたたえよ！」**

民は皆、手を上げ、涙を流しながら神を賛美した。老人たちは、バビロン捕囚の苦しみを思い出し、今こうしてエルサレムが再建されたことが夢のようだと語り合った。若者たちは、初めて見る神の都の栄光に胸を躍らせ、未来への希望に燃えていた。

ネヘミヤは二つの大きな感謝の群れを組織した。一方はエズラが率い、もう一方は彼自身が先頭に立った。彼らは城壁の上を歩き、神の恵みを覚えながら、町を一周した。道中、祭司たちは角笛を吹き鳴らし、民は喜びの叫び声を上げた。この音は敵を恐れさせ、神の民を励ます力となった。

奉献式の後、人々は神殿の庭に集まり、聖なるささげものをした。初穂、油、ぶどう酒、そして最も良い羊や牛が祭壇に運ばれた。祭司たちは、神の律法に従い、これらのものを聖別し、全焼のいけにえとしてささげた。煙は天に立ち上り、神はその香りを喜んで受け入れられた。

その日、ユダの町々からも人々が集まり、祝宴が開かれた。人々は神の前で食べ、飲み、喜び合った。かつてネヘミヤが、「あなたがたの喜びこそ、主の力です」（ネヘミヤ8:10）と言ったように、この日ほどその言葉が真実であると感じられたことはなかった。

夜になると、無数のともしびがエルサレムを照らした。城壁の上に立つと、遠くまで広がる光が見え、それはまるで神の約束の光が再びこの地に注がれたかのようだった。ネヘミヤは静かに祈った。

**「主よ、あなたの慈しみはとこしえまで。どうかこの民を、あなたの御手の中に守ってください。」**

こうして、エルサレムは再び神の栄光に満ちた都として、新たな歩みを始めたのである。