**詩篇75篇に基づく物語：神の正しい裁き**

ある日のこと、ユダの地に住む民たちは、不安と混乱の中にいました。周囲の国々からの脅威、そして自らの指導者たちの不正が蔓延し、人々は「神はどこにおられるのか」と嘆いていました。そのような中、ひとりの預言者が立ち上がり、神からの言葉を伝え始めました。

「神はこう言われる。『わたしは定められた時に、正しい裁きを行う。地とその住民は揺れ動くが、わたしこそがそれを堅く立てる者である。』」

預言者の声は力強く、人々の心に響きました。彼は続けました。

「驕り高ぶる者たちよ、角を高く上げてはならない。不遜な言葉を吐き、神を侮ってはならない。なぜなら、裁きの日は近づいているからだ。東からも西からも、荒野からも、力は来ない。ただ神のみが、すべてを支配し、高める者を高め、低くする者を低くされる。」

その言葉を聞いて、民の中には恐れおののく者もいれば、希望を見出す者もいました。彼らは預言者が語る神の約束に耳を傾けました。

「神は杯を手に取り、豊かに混ぜたぶどう酒を注がれる。この杯は悪しき者たちの手に渡され、彼らはそれを飲み干さなければならない。苦く、燃えるような裁きの杯を、最後の一滴まで味わうことになる。」

預言者は神の正義が必ず成されることを宣言し、こう結びました。

「しかし、わたしはとこしえに喜び歌い、ヤコブの神をほめ歌おう。神は悪しき者の角をことごとく折り、正しい者の角を高く上げられる。」

その日から、民の心には静かな確信が生まれました。神の時は最善であり、どんなに地が揺れ動いても、神の御手がすべてを支え、正しく導かれることを知ったからです。そして、神の裁きが正しく、慈しみ深いものであることを信じ、彼らは賛美をささげ始めました。

「主に感謝せよ。その御名は近く、そのみわざは驚くべきものだ。」

こうして、神の言葉は民の間に広がり、彼らは神の正義と恵みを待ち望むようになりました。神こそがすべての権威の源であり、いつの日か、すべての不正を正し、謙遜な者を高めてくださることを確信したのです。