聖書

「ハバククの幻と信仰による生き方」

**ハバクク書2章に基づく物語**

ユダの地は荒廃し、不正がはびこっていた。預言者ハバククは神の前に立ち、心の重荷を訴えた。「主よ、なぜあなたは悪を見ながら黙っておられるのですか。なぜ暴虐が続くのを許されるのですか?」彼の祈りは夜ごと天に昇り、答えを待ち望んだ。

ある夕暮れ、ハバククが城壁の見張り台に立っていると、神の声が響いた。「ハバククよ、私の示す幻を書き記せ。走りながら読めるように、はっきりと板に刻め。」

ハバククは震える手で羊皮紙を広げ、神の言葉を待った。すると、主は続けて言われた。「見よ、高ぶる者の魂はまっすぐではない。しかし、義人は信仰によって生きる。」

風が荒れ狂い、雲が空を覆う中、神はハバククに五つの災いの幻を示された。

### **第一の災い:貪欲の報い**
「災いだ、不正な富を築く者は。他人の家を奪い、高い所に巣を作ろうとする者は、石が叫び、梁が答える時が来る。」

ハバククは幻の中で、傲慢な商人たちが金銀を積み上げ、貧しい者から土地を奪う姿を見た。しかし、突然、彼らの城壁が崩れ、財宝は塵に帰した。主は言われた。「奪った者は奪われ、血に飢えた者は自ら滅びる。」

### **第二の災い:暴力の報い**
「災いだ、血で町を建て、不正で都を築く者は。万軍の主が定めたのは、民が火のために労し、国が虚しさのために疲れることではないか。」

幻は変わり、戦いの叫びが響く町が現れた。兵士たちは剣を振るい、勝利を誇ったが、やがて敵の炎が彼らを包んだ。主は言われた。「暴力はその作者に返り、誇りは恥に変わる。」

### **第三の災い:欺きの報い**
「災いだ、隣人を酒で酔わせ、欲望にふけらせる者は。あなたも杯を飲み干せ。恥があなたを覆い、栄光は去る。」

ハバククは宴の席で悪賢く笑う者たちを見た。彼らは弱い者を罠にかけ、欺いて楽しんでいた。しかし、突然、彼らの杯が逆さまになり、毒が唇に流れ込んだ。主は言われた。「悪は自らを飲み込み、偽りはその口をふさぐ。」

### **第四の災い:偶像礼拝の愚かさ**
「災いだ、木や石に『目を覚ませ』と言う者は。それは金銀で飾られても、息もなく、何の力もない。」

幻の中では、人々が彫った像にひれ伏し、「我々を救え」と叫んでいた。しかし、偶像は無言のまま、風に倒れた。主は言われた。「造り主を忘れる者は、むなしいものに縋る。」

### **第五の災い:主の栄光の顕現**
しかし、最後に、全地が静まり返った。主の栄光が山々を覆い、聖なる宮が光に満ちた。主の声が響いた。「しかし、地は主の知識で満たされる。水が海を覆うように。」

ハバククはひざまずき、恐れつつも心に平安を感じた。神は正しい裁きを行い、悪を滅ぼし、信仰による者を守られる。

### **ハバククの信仰の告白**
幻が終わると、ハバククは顔を伏せて祈った。「主よ、私はあなたの威厳を聞き、おそれました。たとえいちじくの木が実らず、畑が食物を生じなくても、私は主にあって喜び、救いの神を賛美します。」

こうして、ハバククは神の正義と約束を民に伝え、信仰によって生きるように教えた。彼の言葉は後の世代にも語り継がれ、主を待ち望む者の希望となった。

「見よ、高ぶる者の魂はまっすぐではない。しかし、義人は信仰によって生きる。」(ハバクク2:4)

LEAVE A RESPONSE

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です