**伝道者の書 第一章に基づく物語**

太陽が東の空に昇り、金色の光がエルサレムの石畳に降り注いだ。ソロモン王は宮殿の高いバルコニーに立ち、遠くまで広がる町並みを見下ろしていた。彼の頭には白髪が混じり、かつて輝かしかった王の威光も、今では深い思索の影に覆われていた。

「空の空。すべては空である。」

彼はつぶやくようにそう言った。その声は、長い年月を重ねた知者の重みに満ちていた。風がそよぎ、王の衣を軽く揺らす。彼は目を細め、地平線の彼方に沈む太陽を見つめた。

「日の出、日の入り。太陽はまた、元の場所に戻る。風は南から北へ、北から南へと巡り、同じ道を繰り返す。川はすべて海に流れ込むが、海は満ちることがない。何一つ新たなものはない。」

ソロモンはため息をつき、宮殿の庭へと降りていった。庭には様々な花が咲き乱れ、命の輝きに満ちているように見えた。しかし彼の目には、それらもまた、やがて枯れ、土に帰る儚い存在として映った。

「見よ、この世の労苦は何の益をもたらすのか。一代過ぎればまた次の世代が立ち、地は永遠に変わらない。人の目は見ることに飽きず、耳は聞くことに満足しない。」

彼はかつて、知恵を求め、富を集め、あらゆる快楽を味わった。しかし、どれほどの栄華を極めても、心は満たされなかった。

「私は心を尽くして知恵を探り、この世のあらゆる営みを観察した。しかし、それは風を追いかけるようなものだ。曲がったものはまっすぐにできず、欠けているものは数えられない。」

夜が訪れ、星々が空に瞬いた。ソロモンは書斎に戻り、羊皮紙に言葉を記し始めた。

「私は私の心に言った。『見よ、私は偉大な知恵を増し加え、エルサレムの私以前のすべての者にまさっている。』しかし、知恵が増せば増すほど、苦しみも増す。知識が深まれば深まるほど、悲しみも深まる。」

彼の筆は止まった。ろうそくの炎がゆらめき、壁に長い影を落とした。

「すべては空であり、風を追うようなものだ。」

こうして、伝道者の言葉は記され、後の世に残された。彼の探求は、人間のあらゆる努力が、永遠に続くものではないことを示していた。しかし、その中で一つだけ確かなことがあった。

「神を畏れよ。これがすべての結論である。」

夜明けが近づき、東の空が薄明るくなり始めた。ソロモンは窓から昇る朝日を見つめ、静かに祈りをささげた。彼の心には、深い諦めと、それでもなお消えない神への信頼が共存していた。

こうして、伝道者の書の第一章は、人間の営みの虚しさと、神の前での謙虚さを語り続けるのである。