**出エジプト記13章:贖いの道**
エジプトの地を脱出したイスラエルの民は、荒野に向かって進んでいた。主はモーセを通して、彼らに重要な命令を下された。
「今日、あなたがたはエジプトを出た。この日を覚え、代々にわたって主への祭りとして守りなさい。これはあなたがたにとって、奴隷の家から解放された記念の日である。」
モーセは民に向かって力強く語った。彼の声は砂漠の熱風に乗って、老いも若きもすべての者の心に響いた。
「主はあなたがたを、乳と蜜の流れる地へ導かれる。その地に入る時、この律法を守り、主に仕えなければならない。そして、あなたがたの長子を主にささげなければならない。すべての初子は主のものだからだ。」
民の中から、ある父親が不安げに尋ねた。
「モーセよ、私たちの息子や家畜の初子を、どのようにして主にささげればよいのか?」
モーセは静かに答え、主の言葉を伝えた。
「ろばの初子は子羊で贖いなさい。もし贖わなければ、そのろばの首を折らなければならない。また、あなたがたの息子たちも贖わなければならない。これは、主がエジプトのすべての初子を撃たれた時、イスラエルの家の初子を過ぎ越されたことを覚えるためだ。」
民は深くうなずき、この命令を心に刻んだ。彼らは、かつてエジプトで過越の夜に、子羊の血が家の門に塗られたことを思い出した。その血によって、彼らは滅びから救われたのだ。
主は民を導くため、昼は雲の柱、夜は火の柱をもって彼らの前を進まれた。雲が動けば民も動き、雲が止まれば民も宿営した。主の臨在は常に彼らと共にあり、荒野の道を照らした。
モーセはヨセフの遺骨を持ち出した。ヨセフはかつて、神が必ずイスラエルをエジプトから導き出すと信じ、自分の骨を約束の地に葬るように兄弟たちに誓わせていた。その約束を果たすため、民はヨセフの遺骨を携えて進んだ。
こうして、イスラエルの民はスコテから旅立ち、荒野の端にあるエタムに宿営した。彼らの心には、主の約束への確信と、贖いの御業への感謝が満ちていた。
主が彼らを導かれる限り、たとえ道が困難に見えても、彼らは決して見捨てられることはない。この信仰をもって、彼らは約束の地へと歩みを進めたのである。