聖書

預言者マラキの警告 神の契約と祭司の責任

**預言者マラキの警告:神の契約と祭司たちの責任**

ユダの地、エルサレムの神殿はかつての栄光を失い、人々の心は神から遠ざかっていた。捕囚から帰還したイスラエルの民は、再建された神殿で礼拝を捧げていたが、その信仰は形だけのものになっていた。そんな時代に、預言者マラキは神の言葉を携えて現れた。

### **神の契約と祭司たちの背信**

ある日、マラキは神殿の庭に立ち、祭司たちに向かって神の声を伝えた。

「祭司たちよ、耳を傾けよ。万軍の主はこう言われる。『もしあなたがたがわたしの声に聞き従わず、わたしの名に栄光を帰さないなら、わたしはあなたがたの上にのろいを送り、あなたがたの祝福をのろいに変える。』」

祭司たちは驚き、顔を見合わせた。彼らは自分たちが神に選ばれた特別な存在であると思い込んでいた。しかし、マラキの言葉は鋭く、彼らの心を突き刺した。

「あなたがたは、主の道から外れ、多くの人をつまずかせ、レビの契約を破った。」

かつて、神はレビ族と特別な契約を結び、彼らを通して民を教え、導くことを約束された。祭司たちは神と民との架け橋となるべき存在だった。しかし、今や彼らは自分たちの利益を求め、不正なささげ物を受け入れ、神の律法を軽んじていた。

### **レビの先祖の忠実さとの対比**

マラキは彼らに、かつての忠実なレビの姿を思い起こさせた。

「レビとの契約は、いのちと平和の契約であった。彼はわたしを恐れ、わたしの名を深く敬った。彼の口には真理の教えがあり、その唇には不正が見られなかった。彼は平和と共に歩み、多くの人を罪から立ち返らせた。」

かつての祭司たちは神の前に真実に歩み、民に正しい道を教えた。しかし、今の祭司たちはその務めを忘れ、神の教えを曲げてしまっていた。

### **神のさばきと悔い改めへの招き**

マラキの声はさらに厳しくなった。

「あなたがたは、わたしの道を守らず、律法を人によって差別して用いた。そのため、わたしはあなたがたを民の前に卑しくし、すべての者があなたがたを軽蔑するようにする。」

祭司たちの顔から血の気が引いた。彼らはこれまで、自分たちの立場を利用して権威を振るっていたが、神の前では何の価値もないことが明らかになった。

しかし、マラキの言葉には希望もあった。

「わたしを恐れ、わたしの名を尊ぶ者には、義の太陽が昇る。その翼には癒しがある。あなたがたは再び出て行き、肥えた子牛のように躍るだろう。」

神は真実に悔い改める者を決して見捨てられない。もし祭司たちが心を改め、神に立ち返るなら、再び祝福を受けることができる。

### **民への警告と神の約束**

マラキは祭司たちだけでなく、民全体にも警告を発した。

「あなたがたは、互いに裏切り合い、神が愛しておられる契約を破った。主は、あなたがたとあなたがたの先祖との間の契約を証しされる。」

ユダの人々は、神をないがしろにし、異教の習慣に染まり、隣人を欺いていた。特に、彼らは神が憎まれる離婚や不実な行いを平然と行っていた。

しかし、最後にマラキは神の真実を宣言した。

「わたしは主。わたしは変わらない。だから、あなたがたヤコブの子らは滅びない。わたしのさばきを耐え忍び、わたしの名を畏れる者には、救いの日が来る。」

こうしてマラキは、神の正義と恵みの両方を民に示した。彼の言葉は、やがて来るべきメシアの日を指し示していた。神の契約は決して破られることなく、真実に従う者には永遠の希望が約束されていたのである。

**(終わり)**

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