聖書

「ミカ書2章:裁きと希望の預言者ミカの叫び」

**ミカ書2章に基づく物語**

ユダの山々は、夕暮れの光に赤く染まり、遠くにはエルサレムの城壁がかすかに見えていた。その頃、ユダの民は神の教えから遠ざかり、富と権力を追い求める者たちが増えていた。預言者ミカは、神の言葉を携え、彼らの罪を糾弾するために立ち上がった。

### **災いの宣告**

ある日のこと、ミカは神から厳しい言葉を聞いた。

**「災いだ。寝床で悪を謀り、不正を企む者たちは。夜が明けると、彼らはその手の力でそれを成し遂げる。彼らは畑を奪い、家を取り、人からその所有物を力づくで取り上げるのだ。」**(ミカ書2:1-2)

ミカの心は痛んだ。ユダの指導者たちは、貧しい者から土地を奪い、弱い者を搾取していた。彼らは夜ごと策略を練り、朝になると金持ちや権力者と結託し、不正な裁判で貧しい者たちの財産を奪い取った。神の律法は忘れ去られ、正義は地に落ちていた。

### **民の反発とミカの警告**

ミカが町々を巡り、神の裁きを告げると、人々は耳を塞いだ。

**「預言するな」と彼らは言った。「そんなことは語られるべきではない。恥ずべきことは我々に降りかからない。」**(ミカ書2:6)

彼らはミカの言葉を聞きたがらず、むしろ彼を脅した。しかし、ミカは怯まなかった。

**「神は言われる。『わが言葉は正しく歩む者には恵みとなるが、お前たちのように悪に走る者には災いとなる。お前たちは民を追い出し、その安住の地を奪った。見よ、わたしもまたお前たちをこの地から引き抜き、お前たちが知らない地へと追いやる。』」**(ミカ書2:7-10)

### **偽預言者たちの欺き**

しかし、民はミカの言葉を無視し、代わりに自分たちの耳に心地よい言葉を語る偽預言者たちに従った。

**「酒とぶどう酒について預言せよ」と彼らは言った。「これこそが真の預言者だ。」**(ミカ書2:11)

彼らは神の裁きを否定し、むしろ繁栄と平和が続くと偽りの約束をした。だが、ミカは彼らを厳しく非難した。

**「お前たちを偽りの霊が導いている。神はお前たちの罪を見逃さない。」**

### **希望の約束**

しかし、ミカの言葉は終わりに希望を含んでいた。

**「しかし、ヤコブの残りの者を集める者が現れる。彼らは羊の群れのように安らぎを得る。囲いを破って出て来る者がいるように、彼らの前に導く王が立つ。」**(ミカ書2:12-13)

神は真実な者たちを見捨てず、やがて救い主を遣わし、散らされた民を再び集めると約束された。ミカの言葉は、裁きと同時に、悔い改める者への神の憐れみをも示していた。

### **結び**

ミカは孤独な戦いを続けた。彼の声は、邪悪な時代の中でかき消されそうになったが、神の言葉は決して滅びなかった。やがて、ユダはバビロン捕囚という裁きを受けるが、神は残りの民を守り、約束の成就へと導かれるのである。

ミカの預言は、現代に生きる私たちにも問いかける。
**「私たちは、神の正義に従って生きているだろうか。それとも、富と権力に心を奪われているだろうか。」**

神は今も、悔い改めと正義を求めておられる。ミカの叫びは、時代を超えて響き続けるのである。

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