**テサロニケ人への第二の手紙 第3章**
**怠惰な生活を戒めるパウロの教え**
テサロニケの町は、エーゲ海の風が運ぶ塩の香りと、オリーブ畑が広がる緑の丘に囲まれた、活気ある場所であった。信徒たちは熱心にキリストの教えを守り、終わりの日が近いという期待に胸を躍らせていた。しかし、そのような中で、ある問題が起こっていた。一部の人々が、主の再臨がすぐに来るという誤った教えに惑わされ、仕事を怠り、ただ他人の施しに頼って生活していたのだ。
パウロは、シラスやテモテと共に、この問題を重く見ていた。彼は羊飼いが迷える羊を導くように、テサロニケの信徒たちに手紙を書き送ることにした。
「兄弟たちよ、あなたがたのために祈っています。主の言葉が速やかに広まり、栄光を受けるように。そして、私たちが苦難と迫害の中にあっても、主が私たちを守り、悪しき者から救い出してくださるように。」
パウロの言葉は力強く、彼自身が模範を示していた。彼は宣教の旅の中で、自らテント作りとして働き、誰にも負担をかけまいと努力していた。「私たちは、あなたがたのうちにいる時、『働きたくない者は食べることもしてはならない』という原則に従って生きました。私たちは権利として食物を受けることができたのに、むしろあなたがたに模範を示すために、労苦して働き続けたのです。」
パウロの心には、信徒たちへの深い愛があった。彼は、怠惰な生活が信仰を腐らせることを知っていた。「兄弟たち、主イエス・キリストの名によって命じます。怠惰な生活を送り、私たちの教えに従わないすべての人々から離れなさい。彼らは、私たちの働き方を知っているはずです。私たちはあなたがたの間で秩序正しく生活し、ただでパンを食べることはしませんでした。むしろ、夜も昼も労苦し、神の福音を伝える務めを果たしながら、自らの生活を支えたのです。」
パウロの言葉は、テサロニケの信徒たちの心に深く響いた。彼は彼らを「愛する兄弟」と呼び、彼らが正しい道を歩むことを願っていた。「もし、この手紙の言葉に従わない者がいれば、その人に注意を促しなさい。彼を敵として見るのではなく、兄弟として諭すのです。そうすれば、彼もやがて悔い改め、正しい道に戻るでしょう。」
パウロは最後に、神の平安が彼らと共にあることを祈った。「平和の主ご自身が、どんなときにもあなたがたに平安を与えてくださいますように。主があなたがたすべてと共におられますように。」
こうして、パウロの言葉はテサロニケの信徒たちに確かな指針を与えた。彼らは、信仰と労働のバランスを理解し、怠惰な生活から離れ、互いに助け合いながら、キリストの教えに従って歩み始めたのである。
**終わり**