**北イスラエルの滅亡と捕囚**

主の御目に悪とされることを行い続けた北イスラエルの民は、ついにその罪の報いを受ける時が来た。ホセア王の治世第九年、アッシリアの王シャルマネセルが大軍を率いてサマリアに攻め上り、都を包囲した。三年の間、サマリアは耐え忍んだが、ついに陥落し、イスラエルの民は捕らえられ、遠くアッシリアの地へ連れ去られた。

### **イスラエルの背信**
この災いが訪れたのは、決して突然のことではなかった。かつて主は、モーセを通して契約を結び、十戒を与え、民に従うことを命じられた。しかし、北イスラエルの民は代々、主の戒めを捨て、異教の神々に心を奪われた。彼らは金の子牛を造り、バアルにひれ伏し、アシェラ像を立て、天の万象を拝んだ。

主は預言者たちを遣わし、悔い改めを叫ばせた。エリヤはカルメル山でバアルの預言者たちと対決し、主こそまことの神であることを示した。エリシャは奇跡を行い、主の力を見せた。しかし、民の心はかたくなで、主に立ち返ろうとしなかった。

### **アッシリアによる裁き**
ついに主の怒りが爆発し、アッシリアの王をさえもその御手の道具として用いられた。シャルマネセル王はサマリアを包囲し、三年の後、城壁を破った。兵士たちが街に乱入し、家々を焼き払い、財宝を奪い、人々を鎖で縛って連れ去った。

「お前たちは、主の声に従わず、契約を破った。だから、この地から引き裂かれるのだ。」
預言者の言葉が、今、現実となった。父母は子を引き離され、友人同士も別々の地へ散らされた。彼らはアッシリアの地で奴隷となり、二度と故郷の丘を見ることはなかった。

### **異邦人の移住と混血**
アッシリア王は、イスラエルの民を連れ去った後、バビロン、クタ、アワ、ハマテ、セファルワイムから異邦人を連れて来て、サマリアの町々に住まわせた。これらの民は、主を知らず、それぞれの異教の神々を拝んでいた。

しかし、主は彼らをも見捨てられなかった。最初のうち、彼らは主を恐れず、獅子が彼らの間に現れて人々を殺した。アッシリア王は、「連れて行ったイスラエルの祭司の一人を帰し、彼らにその地の神の礼拝を教えさせよ」と命じた。

一人の捕囚の祭司がベテルに戻り、彼らに主の教えを説いた。しかし、異邦人たちは主を拝みながらも、同時に自分たちの神々も拝み続けた。こうして、サマリアの民は真の信仰と異教の混ざった、歪んだ礼拝を行うようになった。

### **主の忍耐と警告**
主は長い間、忍耐し、預言者たちを通して警告を発し続けられた。しかし、イスラエルは聞かず、ついに裁きが下った。彼らが主の律法を捨て、異教の風習に染まったため、主は彼らを敵の手に渡された。

「もし、あなたがたがわたしの声に聞き従い、戒めを守るなら、わたしはあなたがたを堅く立て、約束の地に安住させよう。」
かつてモーセが語った主の言葉は、今も変わらなかった。しかし、民は選びを誤り、滅びを招いた。

こうして、北イスラエルの十部族は歴史の表舞台から消え、サマリアには異邦人と残された民が混ざり合い、後の時代に「サマリア人」として知られるようになった。

**（列王記下17章に基づく物語）**