聖書

「ユダ族の相続地とカレブの信仰の勝利」

**ヨシュア記15章に基づく物語:ユダ族の相続地**

太陽がゆっくりと地平線に沈み、カナンの地に黄金色の光が広がっていた。ヨシュアは年老いたが、その目は依然として鋭く、神からの使命を果たすために力を注いでいた。彼はイスラエルの各部族の指導者たちを集め、神が約束された土地を分け与える時が来たことを告げた。

### **ユダ族への相続地**

最初に名が呼ばれたのはユダ族であった。彼らは戦いにおいて勇敢であり、神への忠実さも他の部族の模範となっていた。ヨシュアは羊皮紙に記された地図を広げ、神がモーセを通して定められた境界線を指し示した。

「南はエドムの国境に接するツィンの荒野から始まり、カデシュ・バルネアの南、ヘツロンの南を経て、アダルに至り、カルカ湾を回る。そこからアツモン川に沿って進み、エジプトの川に至り、地中海に達する。」

ユダ族の男たちはその言葉を聞き、互いに頷き合った。彼らの相続地は広大で、南は乾いた荒野から北は緑豊かな丘陵地帯まで広がっていた。しかし、その土地にはまだ敵が残っており、彼らは信仰と勇気をもって戦わなければならないことを知っていた。

### **カレブの信仰の勝利**

その中で、特に目を引いたのはカレブの姿であった。彼はすでに年老いていたが、その心は若い時と変わらず、神への信頼に満ちていた。カレブはヨシュアの前に進み出て、こう宣言した。

「主がカデシュ・バルネアで私とあなたについて語られたことを、あなたはご存じでしょう。モーセを通して、私の足が踏む地は私と子孫のものとなると約束されました。今、私は85歳になりますが、まだ若い時と同じ力があります。どうか、主が約束されたあの山地、アナク人の住む堅固な町々を攻め取らせてください。」

ヨシュアはカレブの信仰に心を打たれ、彼にヘブロンの地を与えた。カレブは直ちに戦いに出陣し、かの地に住むアナク人たちを打ち破った。彼は神の力によって敵の要塞を崩し、ヘブロンを完全に征服したのである。

### **町々とその住民たち**

ユダ族の相続地には多くの町々が含まれていた。ベエル・シェバ、モラダ、ハツァル・シュアル、そしてエン・ゲディに至るまで、彼らは一つひとつの土地を神の導きに従って占領していった。しかし、エルサレム(当時はエブス人の支配下にあった)のように、完全に征服できなかった場所もあった。

ユダ族の人々は、自分たちに与えられた土地を調査し、境界線を定めた。彼らは谷間の肥沃な土地から、険しい山地まで、神の約束がどれほど豊かであるかを実感した。しかし、彼らはただ土地を受け取るだけでなく、そこに住む異教の民を追い出し、神に従う民として生きる使命も与えられていた。

### **結論:神の約束の確かさ**

こうして、ユダ族は神が彼らに与えられた相続地を受け継いだ。それは単なる土地の分配ではなく、神の約束が確かであることの証でもあった。彼らはこの地で、神の律法に従い、信仰をもって歩むことが求められていた。

カレブの勝利は、神に信頼する者には不可能はないことを示していた。ユダ族全体もまた、この信仰を受け継ぎ、約束の地における神の計画を成し遂げていくのである。

(終わり)

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