**レビ記27章に基づく物語:聖なる誓約と贖いの価**
エジプトを脱出したイスラエルの民は、荒野を旅しながら、主なる神と共に歩む生活を学んでいた。モーセを通して与えられた律法は、彼らの生活のあらゆる面を神聖なものとするための指針であった。その中でも、レビ記27章は、人々が神に対して立てる誓約や奉献について詳しく記されていた。
ある日、イスラエルの民がシナイの荒野に宿営していると、モーセは神からの言葉を民に伝えた。
**「もし人が主に対して特別な誓願を立て、身代金を払って自分自身を聖別するなら、その価は次のように定められる」**
モーセの声は厳かであり、周りに集まった民は静かに耳を傾けた。祭司アロンとその子らも、神の言葉を正しく執行するため、注意深く聞いていた。
### **人の誓願とその価**
まず、モーセは年齢と性別によって異なる価を告げた。
**「20歳から60歳までの男性は、聖所のシェケルで50シェケルとせよ。女性の場合は30シェケルである。5歳から20歳までの若い男性は20シェケル、女性は10シェケル。1か月から5歳までの男の子は5シェケル、女の子は3シェケル。60歳以上の男性は15シェケル、女性は10シェケルとする」**
民の中にいた年老いたレビ人、エリアブはこの言葉を聞き、深くうなずいた。彼はかつて誓願を立て、自分の身を主に捧げた経験があった。
「主は、私たちの力に応じて公平な価を定めてくださる」と彼はつぶやいた。
### **家畜の奉献**
次に、モーセは家畜についての規定を述べた。
**「もし人が主に捧げるため、家畜を聖別するなら、それは聖なるものとなり、取り替えたり、良きものと悪しきものを交換したりしてはならない。もし交換するなら、両方とも聖なるものとされる」**
この言葉を聞いて、羊飼いのヨナタンは心に響くものを感じた。彼はかつて、最上の雄羊を主に捧げようとしたが、直前になって惜しくなり、別の羊に替えようとしたことがあった。しかし、祭司に諭され、その思いを悔い改めたのだった。
「主に捧げるものは、最善のものを選ばなければならない」と彼は心に誓った。
### **土地と家屋の奉献**
さらに、モーセは土地や家屋についても語った。
**「もし人が相続地の一部を主に捧げるなら、その価は種を蒔く量に応じて定められる。1ホメルの大麦の種を蒔ける土地は50シェケルとする。もしヨベルの年(50年ごとの解放の年)の後に捧げるなら、その価は全額。しかし、ヨベルの年まで時間があるなら、祭司は年数を計算し、値引きする」**
農夫のナフムは、この規定を聞いて驚いた。彼は先祖から受け継いだ畑の一部を主に捧げようと考えていたが、ヨベルの年が近いことを知り、祭司に相談することにした。
「主の律法は、私たちが正しく捧げ物をするための知恵に満ちている」と彼は悟った。
### **誓願の贖い**
最後に、モーセは誓願を立てた者がそれを果たせない場合について語った。
**「もし人が聖別したものを贖いたい(買い戻したい)なら、その価に5分の1を加えて支払わなければならない」**
この言葉を聞いて、商人のエズラは深く考え込んだ。彼はかつて、商売の成功を願って誓願を立て、銀を聖所に納める約束をした。しかし、その後、困難が続き、約束を果たせなくなった。
「主は、私たちの弱さをも知っておられる。贖いの道を開いてくださるのだ」と彼は感謝した。
### **結び:主の聖なる民として**
こうして、モーセは神の律法を民に伝え終えた。イスラエルの人々は、これらの規定を通して、神への誓いがいかに重く、また神の恵みがいかに深いかを学んだ。
**「すべての十分の一は、地の産物であれ、木の実であれ、主のものであり、主に聖なるものである」**
この言葉は、彼らの心に刻まれ、神と共に歩む生活の基盤となった。
そして、荒野の夕暮れの中、民はそれぞれの天幕に戻り、与えられた律法を噛みしめながら、主への感謝を捧げたのである。
**(終わり)**