聖書

「ルベン族とガド族の誓い」

**Numbers 32: ルベン族とガド族の約束**

荒野の旅路が長く続いていた。イスラエルの民は、エジプトの奴隷の軛から解き放たれてから、すでに四十年近い歳月が流れていた。モーセの導きのもと、彼らは約束の地カナンの境にまでたどり着いていた。しかし、その直前に、一つの出来事が起こった。

ヨルダン川の東側、ヤゼルとギルアデの地は、肥沃な牧草地が広がっていた。その地を見たルベン族とガド族の人々は、家畜を多く持っていたため、この土地が非常に気に入った。彼らはモーセと祭司エレアザル、そして全会衆の指導者たちのもとに進み出て、こう申し出た。

「もし我々があなたの御心に適うなら、この地を我々の所有地としてください。我々をヨルダン川の向こうに行かせないでください。」

モーセは彼らの言葉を聞いて、眉をひそめた。かつて、カデシュ・バルネアで、先祖たちが約束の地に入るのを恐れ、不信仰に陥ったことを思い出したからだ。彼は厳しい口調で言った。

「お前たちの兄弟たちが戦いに行くというのに、お前たちはここにとどまるというのか? なぜイスラエルの人々の心をくじき、主が与えようとしておられる地に入るのをためらわせるのか? お前たちの父たちがしたのと同じことをするつもりか? 彼らが偵察から帰ったとき、私は彼らを怒りに燃えて誓った。『エジプトから出て来たこの世代の者は、約束の地を見ることはない。彼らはわたしを捨てたからだ。』」

ルベン族とガド族の人々は、モーセの激しい言葉に震えた。しかし、彼らはすぐに答えを返した。

「決してそういうつもりではありません。我々はただ、家畜のための囲いと、子供たちのための町をここに築きたいのです。しかし、我々自身は武装し、兄弟たちの先頭に立って戦い、彼らが安住の地を得るまで決して家に帰りません。我々は彼らと共に戦い、ヨルダン川の向こう側に住むつもりはありません。我々の嗣業は、このヨルダン川の東側で十分です。」

モーセは彼らの決意を確かめるようにじっと見つめ、やがて頷いた。

「もし、お前たちがその言葉どおり、武装して主の前に渡り、戦いが終わるまで兄弟たちと共に戦うなら、この地をお前たちに与えよう。しかし、もし約束を破るなら、お前たちは主に対して罪を犯すことになる。その罪は必ずお前たちを追いかけることを覚えておけ。」

ルベン族とガド族は深く頭を下げ、誓いを立てた。

「我々は、主の御前で誓います。あなたが命じられたとおりにいたします。」

こうして、モーセは彼らにギルアデの地を与え、彼らはすぐに家族と家畜のために町を築き、囲いを設けた。しかし、戦士たちは全員、武装してイスラエルの他の部族と共にヨルダン川を渡り、約束の地の征服に向かった。

その後、長い戦いの年月が過ぎ、ついにカナンの地が平定されたとき、ルベン族とガド族の戦士たちはモーセの後継者ヨシュアから解放され、無事に家族のもとへ帰還した。彼らは約束を守り、イスラエルの一致を乱すことなく、信仰をもって主に従い通したのである。

こうして、神の民はそれぞれの嗣業の地を受け継ぎ、主がアブラハム、イサク、ヤコブに誓われた約束が、確かに成就するのを見たのであった。

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