**出エジプト記35章に基づく物語**
荒野の朝、黄金の陽光がシナイ山の頂を照らし、砂漠の冷たい夜の名残をゆっくりと溶かしていった。モーセは、神から与えられた律法の言葉を胸に、イスラエルの民のもとへと帰ってきた。彼の顔には、神との対話の跡が輝いており、民は畏敬の念を抱きながら集まってきた。
モーセは民を静めるように手を上げ、深く響く声で語り始めた。
「主はこう命じられました。『六日間は仕事をせよ。しかし、七日目はあなたがたにとって聖なる安息日、主のための全き休みの日である。』」
民はうなずき、安息日の尊さを心に刻んだ。そしてモーセは続けた。
「主はまた、ご自身の住まいとなる幕屋を建てるようにとお命じになりました。心から進んでささげる者たちから、金、銀、青銅、色とりどりの糸、亜麻布、やぎの毛、赤く染めた雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、ともしびのための油、香料、はめ石など、すべての必要なものを集めます。」
モーセの言葉が終わると、民の心は燃えた。男も女も、老人も若者も、神への愛と感謝に満ち、進んでささげようと立ち上がった。
### **民の心からのささげもの**
まず、ユダ族の長老たちが進み出て、金の指輪、鼻輪、腕輪をささげた。太陽の光を浴びてきらめく金は、神の栄光を映し出すようだった。次に、レビ族の女たちが、紺色、紫色、緋色の糸を織った美しい布を持ってきた。それは、かつてエジプトで奴隷だった彼女たちが、自由の民として初めて神のために織った尊い作品だった。
若い羊飼いたちは、柔らかいやぎの毛を運び、皮なめし職人たちは、じゅごんの皮を丁寧に広げた。子どもたちさえも、小さな手で拾ったきれいな石を持ち寄り、「これも神様の家に使ってください」と目を輝かせた。
### **神の知恵を授けられた職人たち**
モーセは再び語った。
「主は、ベツァルエルとオホリアブに、知恵と知識、あらゆる仕事の技能を授け、幕屋を作るようにと選ばれました。」
ベツァルエルはユダ族の巧みな職人で、神の霊に満たされていた。彼は金や銀を彫り、木を刻み、宝石をはめ込む驚くべき技を持っていた。オホリアブもまた、ダン族の才能ある織物師で、色とりどりの布を織り、精巧な刺繍を施すことができた。
二人はすぐに仕事に取りかかり、他の心ある職人たちも加わった。金槌の音、糸を紡ぐ音、木を削る音が荒野に響き渡った。誰もが喜びに満ち、神の御業のために力を尽くした。
### **安息日の厳守**
モーセは最後に、厳かに言った。
「しかし、安息日には、いかなる仕事もしてはならない。これは、主とあなたがたとの間の永遠の契約である。」
民は深くうなずき、神の命令を守ることを誓った。
### **結び**
日が暮れる頃、ささげ物は山のように積み上げられ、職人たちの手は神の業のために準備されていた。イスラエルの民の心は一つとなり、神の幕屋を建てるという聖なる使命に燃えていた。
こうして、主の御言葉に従い、民の心からのささげものと、神が与えた知恵によって、幕屋建設の業は始まったのである。
**(終わり)**