聖書

「エズラ記2章 捕囚からの帰還と神殿再建の始まり」

**エズラ記2章:捕囚からの帰還者たち**

バビロンの捕囚から七十年が過ぎ、主の約束された時がついに訪れた。ペルシャの王クロスは、主の霊に動かされ、ユダの民がエルサレムに帰り、神殿を再建することを許す勅令を出した。この知らせは、バビロンに散らされていたユダヤ人の間に瞬く間に広がり、喜びと期待に満ちたざわめきが起こった。

主に心を動かされた者たちは、それぞれの家族を連れ、長年住み慣れたバビロンの地を後にした。彼らの荷車には、クロス王が返還した神殿の器物や、自分たちが蓄えた財産が積まれていた。しかし、何よりも彼らが携えていたのは、主への信仰と、再び神の都エルサレムで礼拝を捧げたいという熱い願いであった。

### **帰還した民の記録**

エズラの記録によれば、帰還した民の数は次のとおりであった。

まず、ユダとベニヤミンの族長たちが先頭に立ち、祭司、レビ人、そして一般のイスラエルの民が続いた。彼らはそれぞれの家系に従って登録され、その数は42,360人に及んだ。このほかにも、しもべや歌うたいたちなど7,337人、さらに馬200頭、ラバ245頭、らくだ435頭、ろば6,720頭が同行した。

族長たちの中には、シェシュバツァル、ゼルバベル、エシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシャン、ミスパル、ビグワイ、レフム、バアナといった名が見られた。彼らは民を導き、荒れ果てたエルサレムの再建に向けて力を合わせた。

### **祭司とレビ人の系譜**

神殿での奉仕を担う祭司たちも、詳細に記録された。エシュアの家系から973人、ヨヤリブの家系から1,052人、その他の祭司の家系から合計1,222人が帰還した。レビ人もまた、ホデヤの家系から74人、アサフの子孫である歌うたいたち128人が加わった。門衛の子孫、ソロモンのしもべたちの子孫も、それぞれの務めを再開するために帰還した。

しかし、中には自分が祭司の家系であると主張しながらも、その系譜を証明できず、汚れた者として祭司の職に就くことを許されなかった者たちもいた。彼らはウリムとトンミム(神の御旨を問うためのくじ)によって判断が下されるまで、聖なるものに触れることを禁じられた。

### **神殿再建への献げ物**

帰還した民は、神殿の礎を築くと、それぞれの力に応じて献げ物をささげた。族長たちは金6,100ダリク、銀5,000ミナを献金し、祭司たちは金100ダリク、銀2,200ミナをささげた。民全体のささげものは金6万ダリク、銀2,500ミナ、祭司の衣服100着に及んだ。

こうして、彼らはエルサレムの廃墟の中に新たな希望を築き始めた。荒れ果てた土地に家を建て、祭壇を築いて主に犠牲をささげ、再び神の御名を崇めようとした。

### **信仰の継承**

この出来事は、単なる帰還以上の意味を持っていた。それは、主が預言者エレミヤを通して語られた約束の成就であった。

> 「バビロンに七十年が満ちたなら、わたしはあなたがたを顧み、あなたがたにわたしの幸いな約束を果たして、あなたがたをこの所に連れ戻す。」(エレミヤ29:10)

捕囚からの帰還は、神の民が再び主との契約を新たにし、信仰を継承していくための第一歩であった。彼らは、かつての過ちを繰り返さず、主の律法に従って歩むことを誓った。

こうして、エズラの記録は、神の導きと民の信仰を後世に伝える聖なる証言として書き記されたのである。

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