聖書

「神の御手に守られる民:イザヤ書46章の物語」

**イザヤ書46章に基づく物語**

**タイトル:神の御手の中にある民**

ユダの地は、バビロンの強大な力に脅かされていた。都エルサレムは不安に包まれ、人々の心には恐れが広がっていた。彼らの目の前には、バビロンの神々を運ぶ壮大な行列が見えた。金や銀で飾られた偶像は、人々の肩に担がれ、威厳をもって運ばれていく。しかし、その偶像はただの重荷でしかなかった。

その時、預言者イザヤの声が響いた。

**「ベルとネボはうなだれ、かがみ込む。それらを運ぶ獣も疲れ果て、共に倒れる。彼らは重荷となり、疲れた者たちの肩にのしかかる。」**

人々はイザヤの言葉に耳を傾けた。彼は続けた。

**「しかし、わたしの民よ、聞け。わたしはあなたがたを胎内から造り、生まれる前から担ってきた。あなたがたが年老いても、わたしは同じように背負い、救い出す。わたしこそ、あなたがたを造り、担い、運び、救う主である。」**

イザヤの言葉は、嵐の中の灯台のように、迷える民の心を照らした。彼は神の約束を力強く語った。

**「わたしと比べる者はどこにいるのか。誰がわたしのようであろうか。彼らは金銀を出し、金細工人を呼び、神々を造る。彼らはそれを拝み、ひれ伏す。それを肩に担ぎ、据え付けるが、それは動かず、助けを叫んでも答えない。災いが臨んでも、救い出せない。」**

民の中にいた一人の老人が涙を流した。彼は幼い頃から主の律法を守り、バビロンの圧政に苦しんでいた。彼はイザヤに尋ねた。

「預言者よ、私たちはどうすればよいのか。バビロンの力は強大で、私たちは弱く、捕らわれの身のようだ。」

イザヤは静かに微笑み、彼の肩に手を置いた。

**「覚えよ、心に留めよ。わたしこそ神であり、ほかに神はない。わたしの計画は必ず成り、わたしの望むことを必ず成し遂げる。わたしは東から鷲を呼び、遠い国からわたしの計画を実行する者を招く。わたしが語ったのだから、必ず実現する。わたしが計画したのだから、必ず成し遂げる。」**

その言葉を聞いて、民の心に希望が灯った。彼らは、自分たちを造り、生まれる前から知っておられた神こそ、真の救い主であることを悟った。偶像は重荷にすぎないが、主は彼らを背負い、決して見捨てない。

そして、イザヤは最後に力強く宣言した。

**「正義を遠く望む者たちよ、わたしに近づけ。わたしの救いは消えることがなく、わたしの義は決して失われない。わたしはシオンに救いを、イスラエルに栄光を与える。」**

こうして、民は再び主に信頼を置き、偶像の虚しさを悟った。彼らは、たとえ困難の中にあっても、自分たちを造り、担い、救い出してくださる神の御手の中にあることを確信したのである。

**(終わり)**

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