**伝道の書 第2章に基づく物語:虚しき富の追求**
ソロモン王はエルサレムの宮殿の広いバルコニーに立ち、金色の夕陽が町を染めるのを眺めていた。彼の心は重かった。これまで彼が追い求めてきたすべてのもの——富、知恵、喜び——が、まるで風の中の砂のように、手からすり抜けていくように感じられた。
「私は心に言った。『さあ、快楽を味わおう。楽しみを求めよう』」と彼はつぶやいた。しかし、笑いや酒宴、宮廷の踊り子たちの優雅な踊りさえ、彼の心の空虚を埋めることはなかった。彼は最も高価なぶどう酒を注がせ、庭園には珍しい果樹を植え、泉を掘り、あらゆる贅沢を尽くした。彼の宮殿は象牙と金で飾られ、彼の財宝はどの王にも劣らぬほどだった。
「私はまた、大きな事業を成し遂げた」と彼は回想した。彼は町を建て、ぶどう畑を作り、公園と庭園を設け、そこに水を引いた。彼は多くの僕と侍女を抱え、家畜の群れも彼の富の証だった。彼はエジプトや遠い国から珍しい宝物を集め、学者や賢者を招いて知恵を競わせた。彼の名声は国境を越えて広がり、訪れる者は皆、彼の栄華に驚嘆した。
しかし、夜の静けさの中、ソロモンは孤独を感じた。彼がどれほど富を増やしても、どれほど知恵を深めても、彼の心は満たされなかった。「私はすべてを試みた。しかし、見よ、すべては空しく、風を追うようなものだ」と彼はつぶやいた。
彼はふと、父ダビデの言葉を思い出した。「主を畏れることが知恵の始まりである」と。彼はこれまで、神の与えた祝福を自分の力で得たものと思い、喜びを自分の手で掴もうとしていた。しかし、どれほどの富も、どれほどの快楽も、永遠には続かない。死はすべての人に平等に訪れ、富も知恵も、彼を墓から救うことはできない。
「それでは、何が残るのか?」彼は夜空を見上げた。星々が静かにまたたいていた。彼の心に一つの真理が浮かんだ。神なしに求められるものは、すべて虚しい。人は神の下でこそ、真の喜びと意味を見出せるのだ。
「だから、食べ、飲み、自分の労苦の中に喜びを見いだすことが善いことなのだ」と彼は悟った。神が与えてくださる日々の恵みこそが、真の富だった。
こうしてソロモンは、自分のすべての追求が空しい風に過ぎないことを知った。しかし、神を畏れ、その導きに従うことこそが、人の歩むべき道であると心に刻んだのだった。
(終わり)