聖書

「復活の希望:コリントの信徒への約束」

**復活の約束:コリントの信徒への第一の手紙15章に基づく物語**

コリントの街は、エーゲ海の風を受けて繁栄する港町だった。人々の笑い声や商人の掛け声が響く中、教会の小さな集会所では、信徒たちがパウロの手紙に耳を傾けていた。その日、長老のステファノが羊皮紙を広げ、深い声で読み始めた。

**「兄弟たち、わたしがあなたがたに伝えた福音を、今、改めて知らせましょう。それは、あなたがたが受け入れ、また立っているところのものであり、また、それによって救われるのです…」**

集会所の空気が張り詰めた。信徒たちは身を乗り出し、言葉の一つひとつをかみしめるように聞いた。パウロの手紙は、キリストの死と復活の核心に触れていた。

**「キリストは、聖書に書いてあるとおり、わたしたちの罪のために死なれた。そして葬られ、三日目に復活し、聖書に書いてあるとおり現れました…」**

若い信徒のリディアは、涙を浮かべて頷いた。彼女はかつて、死後の存在を恐れていた。しかし、パウロの言葉は、復活の確かな希望を伝えていた。

**「もしキリストがよみがえらなかったのなら、わたしたちの宣教はむなしく、あなたがたの信仰もまたむなしい…」**

長老のステファノは、言葉を区切り、信徒たちを見渡した。

「兄弟姉妹たち、パウロはこう問いかけています。『死者の復活がないと言うなら、キリストもよみがえらなかったことになる。』しかし、キリストは確かに復活された! ペテロに、十二弟子に、五百人以上の兄弟たちに現れ、最後には、このわたしにも現れてくださったのです。」

信徒たちの間にざわめきが広がった。ある者は感激に胸を震わせ、別の者は深く考え込んだ。

**「しかし、ある人は言うでしょう。『死者はどのようにしてよみがえるのか。どんな体で来るのか』と。」**

ステファノは、手に取った小麦の種を見せた。

「パウロはこう教えています。『あなたが蒔くものは、死ななければ、生かされません。』この種は、地に落ちて朽ちるように見える。しかし、やがて芽を出し、美しい穂を実らせる。私たちの体も同じです。朽ちる体で葬られても、復活の時には、朽ちない体としてよみがえるのです。」

外では夕日が海を赤く染め、教会の中には静かな祈りが満ちた。

**「死は勝利にのまれた。死よ、おまえのとげはどこにあるのか。罪のとげは律法であり、罪の力は律法によって働く。しかし、神に感謝すべきことには、わたしたちの主イエス・キリストによって、勝利を得たのです。」**

リディアは目を閉じ、心の中で祈った。

「主よ、あなたの復活が、私たちの希望です。この体が滅びても、あなたと同じ栄光の体に変えられると信じます。」

ステファノは最後に、手紙の結びを力強く読み上げた。

**「だから、愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。主にあっては、あなたがたの労苦がむだになることはないと、あなたがたは知っているからです。」**

信徒たちは互いに顔を見合わせ、確信に満ちた笑みを交わした。コリントの教会は、復活の希望に包まれ、新たな決意をもって歩み始めたのだった。

こうして、パウロの言葉は、時代を超えて響き続ける。死に打ち勝ったキリストの勝利が、すべての信じる者たちに、永遠の命の約束を確信させたのである。

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