聖書

「ゼカリヤの幻 四台の戦車と約束の冠」

**ゼカリヤ書第6章に基づく物語**

ある日のこと、預言者ゼカリヤは深い黙想の中にいた。彼の心には、神からの啓示を待ち望む静かな期待が満ちていた。その時、突然、天が開け、彼の前に驚くべき幻が現れた。

四台の戦車が、二つの青銅の山の間から現れ、風のように駆け抜けてきた。戦車は威厳に満ち、それぞれ異なる色の馬が引いていた。第一の戦車は赤い馬、第二は黒い馬、第三は白い馬、第四はまだらの強い馬であった。これらの馬は、神の御使いによって全世界を行き巡る使命を与えられていた。

ゼカリヤはその光景に目を奪われ、御使いに尋ねた。
「主よ、これらの戦車は何を意味するのでしょうか?」

御使いは静かに答えた。
「これらは天の四方から来たもので、全地の主の前に立っていた者たちだ。黒い馬は北の地へ向かい、白い馬は西へ、まだらの馬は南へ行く。」

ゼカリヤはさらに聞いた。
「では、赤い馬はどこへ行くのですか?」

御使いは深い意味を含んだ声で言った。
「赤い馬は東の地へ向かう。彼らは地を行き巡り、神の御心を成し遂げるのだ。」

すると突然、御使いの声が再び響いた。
「見よ、北の地で、わたしの霊は安らぎを得た。」

ゼカリヤはその言葉に神の裁きと回復の計画を感じた。彼はこの幻が、神がすべての国々を治め、ご自身の民を守られることを示していると悟った。

その後、神の言葉が再びゼカリヤに臨んだ。
「バビロンから帰ってきた人々の中から、ヘルダイ、トビヤ、エダヤを取り、彼らと共に銀と金を受け取り、ヨシャダクの子、大祭司ヨシュアの冠を作れ。そして彼に告げよ。『万軍の主はこう言われる。見よ、ツマハと呼ばれる者がいる。彼は自分の場所から成長し、主の神殿を建てる。彼は王としての威厳を持ち、その王座に座して治める。大祭司もその傍らにいて、両者の間に平和の一致がある。』」

ゼカリヤは神の命令に従い、銀と金で華やかな冠を作り、大祭司ヨシュアの頭に載せた。そして、彼に神の約束を宣言した。
「これは、やがて来るべきダビデの子孫、メシアのしるしである。彼は王であり、祭司であり、すべての民を正義と平和で導かれる。」

人々はこの出来事を見て、神の約束が確かであることを悟り、心に希望を抱いた。遠い日に、真の王であり祭司である方が現れ、神の国を完全に確立されることを期待して、彼らは信仰を新たにしたのである。

こうしてゼカリヤの幻は、神の民に終わりの日の栄光を指し示し、神の御計画が必ず成就することを確信させたのだった。

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