**コロサイ人への手紙 第2章に基づく物語**
**タイトル:キリストにある完全な知恵**
エパフラスがコロサイの教会に到着した日のことだった。彼の顔は長い旅の疲れでくたびれていたが、目は燃えるような熱意に満ちていた。彼はパウロから託された手紙を胸に抱え、教会の扉を開いた。中では信徒たちが集まり、祈りをささげていた。
「兄弟姉妹たち、パウロからあなたがたへの手紙です。」
エパフラスが言葉を発すると、一同は静かに耳を傾けた。パウロの言葉は、まるで遠くから響いてくる神の声のようだった。
**「わたしは、あなたがたのために戦い、またラオデキヤにいる人々のために戦っています。彼らもわたしと顔を合わせて会ったことのない人たちです。それは、あなたがたが心を励まされ、愛によって結び合わされ、豊かな知性のすべての富にまで至り、神の奥義であるキリストを悟るに至るためです。このキリストのうちに、知恵と知識とのすべての宝が隠されているのです。」**
信徒たちは互いを見つめ、深くうなずいた。彼らの中には、まだ迷いを抱えている者もいた。ある者はユダヤの律法に縛られ、別の者は世の哲学や空しい伝説に惑わされていた。しかし、パウロの言葉は彼らの心に光を灯した。
**「だから、だれも、食べ物や飲み物、あるいは祭りや新月や安息日について、あなたがたを批評してはなりません。これらは、きたるべきものの影であって、その実体はキリストにあるのです。」**
一人の年老いた信徒が涙を浮かべた。彼は長年、安息日を守ることこそ神への忠誠だと思い込んでいた。しかし今、パウロの言葉によって、そのすべてがキリストのうちに完成されていることを悟ったのだ。
さらにパウロは警告を続けた。
**「だれも、偽りの謙遜や天使礼拝を口実にして、あなたがたから報いを奪い取るようなことがあってはなりません。そのような者は、自分の肉の思いに従って歩み、空しい高慢にふけっているのです。」**
教会の隅で、若い信徒が震える声で尋ねた。
「では、私たちはどうすればよいのですか?」
エパフラスは優しく答えた。
「キリストに根ざし、キリストのうちに建てられ、教えられたとおりに信仰に堅く立つのです。キリストは、すべての支配と権威の武装を解除し、彼らを捕虜として凱旋行列に加えられたのですから。」
その夜、信徒たちは深い平安に包まれた。彼らはもはや、人の教えや世の風潮に振り回される必要はなかった。キリストこそがすべてであり、彼のうちにこそ真の命が満ちていたからだ。
こうして、コロサイの教会は再び立ち上がった。彼らはキリストの勝利を信じ、この世の空しい教えに惑わされることなく、愛と信仰に満ちた歩みを続けたのである。
**(終わり)**