聖書

ネヘミヤの城壁再建 結束と信仰の物語

**ネヘミヤ記3章:城壁再建の物語**

エルサレムの城壁は長い間、廃墟と化していた。かつて栄光に満ちた都の姿は、バビロンによる破壊以来、荒れ果てたままであった。人々は嘆き、神の約束を待ち望んでいたが、城壁の再建はあまりにも困難な課題に思われた。しかし、神はご自身の民を決して見捨ててはおられなかった。

ネヘミヤは、ペルシャの王アルタシャスタの献酌官として仕えていたが、故郷エルサレムの惨状を聞き、深く心を痛めていた。彼は神に祈り、王の許可を得て、ついにエルサレムへと帰還した。到着してすぐ、彼は夜陰に乗じて城壁の状態を調査した。崩れた石、焼け焦げた門、雑草が生い茂る堀——すべてが彼の決意を固めるのに十分だった。

「さあ、神の栄光のために、この城壁を再建しよう!」

ネヘミヤは民を集め、神の導きを告げた。すると、祭司たち、貴族たち、職人たち、そして一般の民衆までもが、こぞってこの聖なる事業に参加することを誓った。こうして、エルサレムの城壁再建という偉大な働きが始まったのである。

### **各門と担当者たち**

#### **羊の門**
大祭司エリアシブとその兄弟たちが最初の工事に着手した。彼らは聖なる務めを果たすように、この門を再建した。羊の門は、神殿に捧げられる犠牲の動物が通る門であり、神への礼拝の象徴であった。石を積み、木材を固定する彼らの手には、神への畏敬の念が込められていた。

#### **魚の門**
次に、ハッセナアの子孫たちが魚の門を建て直した。この門は、商人たちがティルスやシドンから運んでくる魚が通る場所であり、市場の賑わいを取り戻すための重要な門であった。彼らは梁を据え、扉を設置し、かつての活気が戻ることを願いながら作業を進めた。

#### **古い門**
エルサレムの北側に位置する古い門は、ヨヤダの子ウジエルと、ハルナヤの息子たちが再建した。この門は歴史の重みを感じさせる場所であり、彼らは先祖の信仰に思いを馳せながら、石を一つ一つ丁寧に積み上げていった。

#### **広い城壁の部分**
メレモテとメシュラム、そしてバアナの子ザドクは、広大な区間を担当した。ここは敵の攻撃を受けやすい場所であり、特に注意が必要だった。彼らは互いに励まし合い、神の守りを信じて工事を続けた。

#### **炉の塔から城壁の角まで**
テコアの人々は二つの重要な区間を担当した。しかし、彼らのうちの貴族たちは、この働きに加わろうとしなかった。それでも、一般の民は熱心に働き、石を運び、漆喰を塗り、見事に城壁を築き上げた。彼らの忠実さは、神の前に喜ばれるものであった。

#### **金の工房の隣**
祭司たちの中にも、それぞれの区間を担当する者がいた。彼らは神殿に仕える者として、神の都を守る務めを真剣に受け止め、自分の家の近くの城壁を修復した。

#### **水の門**
オフニとその仲間たちは、水の門を再建した。この門は、ギホンの泉からの水を都に引き込むための重要な門であり、命の水の象徴でもあった。彼らは、神の恵みがこの都に再び流れ込むことを願いながら、工事を完成させた。

### **結束と信仰の勝利**

こうして、エルサレムの城壁は、多くの人々の協力によって再建されていった。祭司も、商人も、職人も、農民も——すべての者が一つの目的のために力を合わせた。彼らは、単に石を積んでいるのではなく、神の約束を信じて歩む信仰を築いていたのである。

ネヘミヤは、この光景を見て心から感謝した。

「主は偉大なり。この民を導き、力を与えてくださった!」

敵の脅威や内部分裂の危機があったにもかかわらず、神の民は結束し、見事に城壁を完成させた。これは単なる建築事業ではなく、神の民の信仰と団結の証であった。

こうして、エルサレムは再び神の栄光を輝かせる都として蘇り始めたのである。

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