**出エジプト記25章に基づく物語**
荒野を旅するイスラエルの民の頭上には、灼熱の太陽が照りつけていた。モーセは神から授けられた十戒の石板を胸に抱き、静かに幕屋へと向かった。その心には、神が示された聖なる御言葉が深く刻まれていた。
「イスラエルの子らに告げよ。わたしのために奉献のささげ物を受け取りなさい。心から喜んでささげる者のものを。」
神の声は雷のように響き、モーセの魂を震わせた。彼は直ちに民を集め、神の御心を伝えた。
「主は私たちに聖なる幕屋を建てるよう命じられました。金、銀、青銅、青色、紫色、緋色の糸、亜麻布、やぎの毛、赤くなめした雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、ともしびのための油、注ぎの油と香ばしい香のための香料、エポデや胸当てにはめ込むしまめのうや、他の宝石を持っている者は、進んでささげなさい。」
民は神の御言葉に応え、次々と貴重な品々を持ち寄った。金の指輪、銀の腕輪、色とりどりの織物……それらはすべて、神への深い信仰と感謝の表れであった。
### **聖なる箱の設計**
神はモーセに、契約の箱を作るよう詳細に指示された。
「アカシヤ材で箱を作りなさい。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半。純金で内側も外側も覆い、周囲に金の飾り縁を作る。そして、四つの金の環を鋳造し、箱の四隅の脚に付けなさい。環にはアカシヤ材で作った棒を通し、箱を運ぶために用いる。」
モーセは熟練した職人ベツァルエルとオホリアブを選び、神の設計図に従って作業を進めた。金箔が輝き、木目の美しいアカシヤ材が彫刻され、神の臨在を象徴する聖なる箱が形作られていった。
### **贖いの蓋とケルビム**
「純金で贖いの蓋を作りなさい。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半。その上に、金を打ち出して二つのケルビムを作る。一方を蓋の一端に、もう一方を另一端に配置し、ケルビムの翼を高く広げて蓋を覆うようにする。ケルビムは顔を互いに向け、蓋を見つめるようにしなさい。」
職人たちは慎重に金を打ち延ばし、神の栄光を象徴する翼を持つケルビムを形作った。その姿は威厳に満ち、神の御座を守る者のようであった。
### **供えの机と燭台**
神はさらに、聖なる幕屋のための器具についても指示された。
「アカシヤ材で机を作り、純金で覆いなさい。周囲には金の飾り縁を付け、四つの環を付けて棒を通せるようにする。また、純金の燭台を作り、六つの枝を伸ばしなさい。それぞれの枝にはアーモンドの花の形をした飾りを付け、ともしび皿を載せる。」
細部までこだわった神の設計は、すべてが完全で美しかった。燭台の黄金の輝きは、神の光が決して消えることのないことを象徴していた。
### **聖なる幕屋の完成**
日が経つにつれ、神の幕屋は完成に近づいていった。イスラエルの民は、神が共に住まわれる場所ができることを喜び、心を一つにして働いた。
ついに、契約の箱、供えの机、燭台、香の壇……すべてが神の指示通りに完成した。モーセは深くうなだれ、感謝の祈りをささげた。
「主よ、あなたの御心のままにすべてが整えられました。どうか、この幕屋にあなたの栄光が満ちますように。」
すると、雲が幕屋を覆い、神の栄光がそこに満ちた。イスラエルの民は、神が確かに彼らと共におられることを知り、ひれ伏して礼拝した。
こうして、神の御住まいが地上に設けられ、聖なる契約が新たに刻まれたのである。