**エレミヤの警告:背信の民への神の訴え**
ユダの地は、かつて主の慈愛に満ちた祝福を受けた緑豊かな土地であった。しかし今、その民は神から離れ、自分たちで掘った水のない壊れた井戸に頼るようになっていた。預言者エレミヤは、神の言葉を携え、エルサレムの路地や神殿の前で、民に悔い改めを叫んだ。
ある晴れた日の朝、エレミヤは主の声をはっきりと聞いた。「エレミヤよ、立って、エルサレムの人々に語れ。彼らに、わたしがどれほど彼らを愛したかを思い出させよ。」
エレミヤは神殿の階段に立ち、集まってきた群衆に向かって声を張り上げた。「主はこう言われる。『わたしは、あなたがたの若かったときの愛、婚約時代のことを覚えている。あなたがたは荒野の中、種も蒔かれていない地で、わたしに従った。イスラエルは主への聖なるもの、初穂の収穫であった。しかし今、あなたがたはなぜわたしを捨てたのか。』」
群衆の中からつぶやきが上がった。「私たちは主を捨てたのではない。ただ、周りの国々のように強くなりたいだけだ。」
エレミヤの目には悲しみが浮かんだ。「あなたがたは、『エジプトに助けを求めよう』『アッシリヤの力に頼ろう』と言う。しかし、それは水のない干上がった川に頼るようなものだ。主はあなたがたをエジプトの奴隷の家から導き出し、乳と蜜の流れる地を与えられた。それなのに、なぜあなたがたはバアルに心を奪われ、無益な偶像にひれ伏すのか。」
神殿の前で商人たちが偶像の像を売り、人々はそれを買い求めて拝んでいた。エレミヤはその光景を見て、さらに声を強めた。「あなたがたの悪は、衣を真っ黒に染める染料のようだ。どれだけ洗おうとも、汚れは落ちない。あなたがたは『私は汚れていない、ほかの神々に従ったことはない』と言うが、盗人が捕らえられたときのように、恥ずかしさに顔を伏せるがよい。」
ある祭司がエレミヤに近づき、怒りを含んだ声で言った。「お前の言葉は人々を混乱させる。私たちは主に犠牲を捧げている。それなのになぜ、私たちが咎められなければならないのか。」
エレミヤは静かに答えた。「主はあなたがたの犠牲を喜ばれない。あなたがたの手は血で汚れ、心は偽りに満ちている。かつて主はあなたがたを良いぶどうの木として植えられたが、今やそれは野の雑草となってしまった。」
日が沈みかけた頃、エレミヤはひとり、オリーブの木の下に座り、涙を流した。彼の心は引き裂かれるほど痛んだ。神の民がこれほどまでに神から離れてしまったことを思うと、耐え難い悲しみが押し寄せた。
その夜、主は再びエレミヤに語られた。「彼らは『私たちは自由だ、もう誰にも縛られない』と言うが、実は罪の奴隷となっている。わたしは彼らを愛し、幾度も救いの手を差し伸べたが、彼らは『いやだ』と言った。しかし、エレミヤよ、語り続けよ。たとえ彼らが耳を塞いでも、わたしの言葉は消えることはない。」
こうしてエレミヤは、ユダの民が悔い改めて主に立ち返る日を待ち望みながら、神の警告を語り続けた。しかし、民の心はますます頑なになり、やがて来るべき裁きの時が近づいていた──。