**闇の中からの叫び**
ある夜、深い闇がエルサレムを包み込んでいた。オリーブ山のふもとにひっそりとたたずむ小さな家で、一人の男が苦悶の祈りをささげていた。その男の名はヘマン。彼はレビ族の知恵ある歌の指揮者として知られていたが、今は魂の底から湧き上がる絶望に打ちひしがれていた。
「主よ、私の救いの神よ。昼も夜も、私はあなたに向かって叫んでいます。どうか私の祈りをあなたの御耳に届けてください!」
彼の声は震え、額には冷たい汗が浮かんでいた。部屋の隅では、一本のともしびがかすかに揺れ、壁に長い影を落としていた。外では風がうなり、まるで彼の苦しみに共鳴するかのようだった。
ヘマンは長い間、主の前にひれ伏し、涙を流しながら祈り続けていた。しかし、どんなに祈っても、天からの答えはない。彼はまるで深い穴の底に閉じ込められたかのように感じていた。
「私はすでに死んだ者のようにされています。墓に葬られた者のように、あなたは私を忘れ去られたのです。」
彼の心には、幼い頃から主に仕えてきた日々がよみがえった。かつては喜びをもって神殿で賛美をささげ、民に神の御言葉を伝えていた。しかし今、彼はなぜこんなにも見捨てられたのか理解できなかった。病と孤独が彼を蝕み、友人たちは遠ざかり、家族さえも彼の苦しみを理解できずにいた。
「あなたの怒りが私の上に重くのしかかり、あなたの波が私を打ちのめします。」
彼は床にひざまずき、額を地面につけた。痛みが体中を駆け巡り、呼吸さえも苦しかった。しかし、それでも彼は祈りをやめなかった。
「主よ、なぜ私を捨てられるのですか? なぜ御顔を隠されるのですか?」
闇はますます深まり、彼の心には絶望が広がった。しかし、その絶望の中でも、彼はただ一つのことを知っていた。たとえ答えがなくても、たとえ苦しみが続いても、彼は叫び続けるのだ。なぜなら、神だけが彼の希望だったからだ。
「私の祈りは朝ごとにあなたの御前にあります。主よ、どうか耳を傾けてください。」
夜が明ける頃、ヘマンは疲れ果てて床に倒れ込んだ。彼の目からは涙が止まらず、祈りの言葉もかすれていた。しかし、彼の魂はなおも神に向かって叫んでいた。
この物語は、詩篇88篇に基づき、苦しみの中で神にすがり続ける信仰者の姿を描いたものである。たとえ答えが見えなくても、神に叫び続けることこそが、真の信仰の姿なのだ。