聖書

「アモスと三つの幻:神の裁きと預言者の使命」

**アモス書7章に基づく物語**

ユダの荒野からベテルへと続く道は、乾いた風が舞い上がる砂塵で覆われていた。預言者アモスの足取りは重く、彼の心には主からの燃えるような言葉が宿っていた。主は彼に、イスラエルの民に対する裁きの幻を見せ始めていた。

### **最初の幻:いなごの災い**

ある夜、アモスは深い幻の中で、主が一つの情景を示されるのを見た。春の新芽がようやく伸び始めた畑に、無数のいなごが降りてきた。その大群は緑をむさぼり食い、大地を丸裸にしていく。イスラエルの農民たちの苦労が一瞬にして無に帰そうとする光景だった。

「主よ、お願いです。どうかヤコブを許してください。彼は小さな者です。どうして耐えられましょうか。」アモスは必死に祈った。

すると、主の声が響いた。
「この災いは起こらない。」

主はアモスの祈りを聞き入れ、いなごの災いを止められた。しかし、アモスの胸にはまだ重苦しい予感が残っていた。

### **第二の幻:火の裁き**

再び主は幻を示された。今度は天から激しい火が降り、大地を焼き尽くす光景だった。炎は深い海の水さえも蒸発させ、イスラエルのすべてを灰に変えようとしていた。

「主よ、お願いです。どうかやめてください。ヤコブは耐えきれません。」アモスは再び懇願した。

すると、主は言われた。
「この災いも起こらない。」

主は再び憐れみを示された。しかし、アモスは知っていた。民の罪はあまりにも深く、裁きは避けられないと。

### **第三の幻:測り縄**

そして三度目、主はアモスに新しい幻を見せられた。主はまっすぐな測り縄を持ち、イスラエルの民の間にそれを張られた。それは、歪んだ城壁が壊されるべきかどうかを測るためだった。

「アモスよ、何を見るか。」
「測り縄です。」

主は静かに語られた。
「わたしはもはや、イスラエルを見過ごすことはできない。聖所は荒らされ、イスラエルの家は剣で倒される。」

### **アマツヤの反抗**

この預言がベテルの祭司アマツヤの耳に入ると、彼はすぐにイスラエルの王ヤラベアムのもとに使いを送った。

「アモスが王に対して反逆を企てています。この国は彼の言葉に耐えられません。」

そしてアマツヤはアモスに言った。
「先見者よ、ユダへ帰れ。そこで糧を得よ。ベテルでは預言するな。ここは王の聖所、王国の神殿だ。」

しかしアモスは毅然と答えた。
「わたしは預言者でもなく、預言者の子でもない。ただ羊飼いであり、いちじく桑の木を育てる者だ。しかし、主はわたしを捕らえ、『行って、わたしの民イスラエルに預言せよ』と命じられた。」

そして彼はアマツヤに厳しい宣告をした。
「主はこう言われる。『あなたの妻は町で売春婦となり、あなたの子らは剣に倒れ、あなたの土地は測り縄で分け与えられる。あなたは汚れた地で死に、イスラエルは必ず捕囚として連れ去られる。』」

### **終わりに**

アモスの言葉は、主の厳しい裁きと同時に、悔い改めへの招きでもあった。しかし、イスラエルの指導者たちは耳を傾けず、アモスは孤独な戦いを続けることになる。彼の言葉は、やがて現実となる神の審判を告げる、消えることのない炎だった。

こうして、主の正義と憐れみは、アモスを通して民に示され続けたのである。

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