**エレミヤ書13章に基づく物語:腐った帯**
ユダの王ヨシヤの時代から幾星霜が流れ、その子ヨヤキムが王位についた頃、預言者エレミヤは主の言葉を聞いた。その日、エルサレムの路地裏には人々の喧騒が渦巻いていた。商人たちは品物を並べ、女たちは水を汲みに井戸へと急ぎ、子供たちは無邪気に駆け回っていた。しかし、エレミヤの心は重かった。主が彼に示そうとしていることが、この町の繁栄の陰に潜む罪を暴くものだと、彼は直感していた。
ある夜、主の声がエレミヤに臨んだ。
「エレミヤよ、麻の帯を買い、それを腰に締めよ。しかし、水に浸してはならない。」
エレミヤはすぐに行動に移した。翌朝、市場で最も上質な麻の帯を選び、それを自分の腰にしっかりと結んだ。帯は彼の体に密着し、まるで主と民との結びつきのようだった。帯は彼の日常の一部となり、歩くたびにその存在を感じた。
しかし、数日後、再び主の声が響いた。
「エレミヤよ、腰に締めた帯を取り、ユーフラテス川のほとりに行き、岩の裂け目にそれを隠せ。」
エレミヤは驚いた。ユーフラテス川は遠く、旅には危険が伴う。しかし、主の命令に背くことはできなかった。彼は長い旅路を経て、ついにユーフラテス川の岸辺にたどり着いた。川の水は濁り、岩肌は乾いていた。エレミヤは帯を岩の間に押し込み、砂塵で覆い隠した。
「なぜ主は私にこんなことを命じたのか……」
彼は疑問を抱きながらも、エルサレムへと帰還した。
月日が流れ、再び主の声が彼に告げた。
「エレミヤよ、ユーフラテスへ行き、隠した帯を取り戻せ。」
再び長い旅をし、彼は帯を探しに川岸へと向かった。しかし、岩の間から引き出した帯は、もはや彼の腰に締められるようなものではなかった。湿気と時間によって腐り、ボロボロに崩れ、何の役にも立たないものとなっていた。
エレミヤの心に主の言葉が響いた。
「この帯のように、わたしはユダの誇りとエルサレムの大いなる誇りを腐らせる。この悪い民は、わたしの言葉に聞き従わず、自分の心のままに歩み、他の神々に従い、それに仕え、ひれ伏した。彼らはこの帯のようになる。帯が人の腰に結ばれるように、わたしはイスラエルの全家とユダの全家をわたしに結びつけ、彼らをわたしの民とし、名と誉れと栄えとした。しかし、彼らは聞き従わなかった。」
エレミヤは震える手で帯を握りしめた。主の怒りは、民の背信に対するものだった。彼らは主に選ばれながら、偶像礼拝にふけり、不正を行い、貧しい者を虐げていた。
エルサレムに戻ったエレミヤは、主の言葉を民に伝えた。
「主はこう言われる。『すべての皮袋はぶどう酒で満たされる。』もし民があなたがたに、『ぶどう酒が満たされるのは当然ではないか』と言うなら、彼らに告げよ。『主は言われる。見よ、わたしはこの地のすべての住民、ダビデの王座に座する者、祭司、預言者、エルサレムのすべての民を酔わせる。そして、彼らを互いに打ち砕かせる。父と子はともに倒れ、憐れみも赦しもない。』」
人々はエレミヤの言葉を嘲笑った。
「何を大げさな。エルサレムは堅固だ。主の宮があるではないか。」
しかし、エレミヤの目には、やがて来る破滅の光景が映っていた。バビロンの軍勢が迫り、町は火に包まれ、人々は捕囚として連れ去られる——主の裁きは避けられない。
彼は嘆きながらも、最後の警告を叫んだ。
「誇る者よ、あなたがたの栄光は腐った帯のようになる。主に立ち返れ。さもなければ、災いがあなたがたを飲み込む!」
しかし、人々の耳は閉ざされたままだった。
エレミヤは孤独の中、主の言葉を握りしめた。腐った帯は、ユダの滅びの象徴として、彼の心に深く刻まれたのだった。