聖書

「幕屋から永遠の贖いへ:ヘブル9章の物語」

**ヘブル人への手紙 第9章に基づく物語**

昔々、神の民イスラエルが荒野を旅していた時代、神はモーセを通して幕屋の建設を命じられました。その幕屋は、天の御国の写しであり、神が人と共に住まわれる聖なる場所でした。

幕屋は二つの部分に分かれており、最初の部屋は「聖所」と呼ばれ、金の燭台、パンを供える机、香をたく祭壇が置かれていました。祭司たちは毎日ここに入り、神への礼拝を捧げました。しかし、その奥にはもう一つの部屋があり、「至聖所」と呼ばれ、神の臨在が最も強く現れる場所でした。そこには、神の契約の箱が安置され、その上には贖罪の蓋(「贖いの座」)があり、ケルビムの像が翼を広げて覆っていました。

しかし、至聖所に入ることが許されたのは大祭司だけで、しかも年に一度、贖罪の日だけでした。大祭司はまず自分の罪と民の罪のために雄牛と山羊の血を携え、至聖所に入り、贖いの座に血を振りかけました。このようにして、神の前で罪が清められたのです。

しかし、この儀式は完全なものではありませんでした。年ごとに繰り返され、動物の血では人の心までは清められず、ただ外面的なきよめに過ぎませんでした。それゆえ、神はもっと完全な贖いを備えられました。

時が満ち、神は御子イエス・キリストをこの世に遣わされました。イエスは、この地上で完全な人生を歩み、罪のないお方として、ご自身を犠牲として捧げられたのです。十字架の上で流されたその尊い血は、もはや動物の血のように一時的なものではなく、永遠の贖いをもたらすものでした。

そして、イエスは天の至聖所に入り、私たちの大祭司として、ただ一度だけ、ご自身の血によって永遠の贖いを成し遂げられたのです。もはや年ごとの犠牲は必要なく、イエスの血はすべての信じる者の罪を完全に洗い流しました。

こうして、古い契約の下での幕屋の儀式は、やがて来る真の贖い主の影に過ぎなかったことが明らかになりました。イエス・キリストこそが、神と人との間を完全に和解させ、私たちに永遠の救いをもたらしてくださったのです。

だからこそ、私たちはこの恵みを覚え、信仰をもって神の御前に進むことができます。天の至聖所は、今やイエスの血によって開かれ、私たちは大胆に神に近づくことができるのです。

**(終わり)**

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