**レビ記7章に基づく聖なる捧げ物の物語**
荒野を渡るイスラエルの民の間で、幕屋の周りには神聖な静けさが広がっていた。太陽が砂漠の地平線に沈み、黄金の光が幕屋の天幕を照らすと、祭司アロンとその子らは、主がモーセを通して与えられた律法に従い、捧げ物を整えていた。この日は、特に「和解の捧げ物」についての規定が民に示される日であった。
アロンの長子ナダブは、祭壇の前に立って、脂身と肝臓の小葉を慎重に分けていた。レビ記7章の言葉が彼の心に響く。「主に火でささげる物の脂はすべて、あなたがたが食べてはならない。すべての脂肪とすべての血は、あなたがたの子孫の代々にわたって、どこに住んでいても、食べてはならない。」(レビ記7:22-25)
民の中から、一人の男が子羊を連れて進み出た。彼はレビ族の者ではなく、ただ主の教えを守りたいと願うイスラエルの民の一人だった。祭司アロンは彼を優しく迎え、捧げ物の手順を説明した。
「和解の捧げ物は感謝を表すものであれば、種を入れないパンと油を混ぜた菓子、また油を塗った薄焼きパンを添えなければならない。」(レビ記7:12)
男はうなずき、妻が用意した無酵母のパンを祭司に渡した。炎が祭壇の上で揺らめき、脂身が燃やされると、甘い香りが立ち上った。それは主へのなだめの香り、聖なる交わりの証であった。
しかし、その場にいた若いレビ人の中に、疑問を抱く者がいた。彼はアロンのもとに近づき、尋ねた。「なぜ、血と脂を食べてはいけないのですか?」
アロンは深い思いで答えた。「血は命そのもの。主は、命を尊び、それを聖別された。脂は主に属するもの。私たちは主の定めに従い、聖と俗を分けるのだ。」(レビ記7:26-27)
夜が更け、星が荒野に輝く中、民は神の律法の厳格さと慈しみを感じていた。捧げ物を通して、彼らは主との契約を新たにし、聖なる民として歩む決意を固めたのである。
こうして、イスラエルの民はレビ記7章の教えに従い、主との正しい関係を保ち続けた。彼らは、捧げ物が単なる儀式ではなく、神との生きた交わりの表現であることを学んだのであった。