聖書

「ダビデの喜びと神の箱の帰還」

**歴代誌第一 15章:神の箱のエルサレムへの帰還**

イスラエルの王ダビデの心は喜びに満ちていた。ついに、彼は神の箱をエルサレムに迎え入れる準備が整ったのだ。かつて、彼は神の箱を運ぶ方法を誤り、ウザの死という悲劇を招いた(歴代誌第一13章)。しかし今、ダビデは主の言葉に従い、正しい方法で箱を運ぶ決意を固めた。

### **聖なる準備**

ダビデはエルサレムに宮を建て、神の箱を安置する場所を整えた。そして、彼は祭司とレビ人たちを召集し、厳かに宣言した。

「あなたがたは、イスラエルの各部族の代表であるレビ人の中から、主の箱を担ぐために身を清めなさい。前回、私たちは主の定めに従わず、箱を車に載せて運んだために、主の怒りを受けた。しかし今、モーセの律法に記されている通り、レビ人たちが肩に担いで運ぶのだ。」(歴代誌第一15:2, 12-13)

祭司たちとレビ人たちは、この言葉に従い、身を清めた。彼らは純白の亜麻布の衣をまとい、聖別の油を注がれ、神の前に立つ者としての務めを果たす準備を整えた。

### **神の箱を担ぐ者たち**

ダビデは、神の箱を運ぶ役目を、レビ人の三家、ケハテ族、メラリ族、ゲルション族から選ばれた者たちに託した。その中でも特に、ケハテ族のウリエル、アサヤ、ヨエルらが中心となり、箱を慎重に担いだ。彼らの足取りは重々しく、神の臨在を前にして、畏れと敬意に満ちていた。

また、ダビデは音楽と賛美をもって主をたたえるように命じた。歌うたいたち、ハープやシンバル、ラッパを奏でる者たちが選ばれ、喜びの声をもって神の箱を囲んだ。その中には、アサフ、ヘマン、エドトンといった、主に仕える音楽の指導者たちもいた。彼らの歌声は天に届くほど力強く、エルサレムの丘にこだました。

### **喜びの行列**

ついに、神の箱はキルヤテ・ヤリムからエルサレムへと運ばれる時が来た。ダビデは王としての威厳を脱ぎ捨て、主の前で喜び踊った。彼は亜麻布のエフォド(祭司の衣)を身にまとい、力の限り踊り、歌いながら進んだ。

「主をほめたたえよ! 主の御名を賛美せよ! イスラエルの神こそ、とこしえに栄光を受けるにふさわしい方だ!」

民もまた、王に続いて喜びの叫びを上げた。ラッパの音、シンバルの響き、そして数千の声が一つとなり、エルサレムの道を神の栄光で満たした。

しかし、この光景を見たサウルの娘ミカルは、窓から眺めながら心の中でダビデを軽蔑した。

「イスラエルの王たる者が、なんと卑しくふるまうことか。みすぼらしい者のように踊り狂い、民の前で恥をさらしている。」

### **神の箱の安置**

こうして、神の箱はついにダビデの町、エルサレムに到着した。箱は、ダビデが設けた天幕の中に安置され、全焼のいけにえと和解のいけにえがささげられた。ダビデは民を祝福し、すべての人にパンと肉とぶどう酒が分け与えられた。

その日、イスラエル全土に喜びが満ちた。主の臨在が再び民の中に戻り、ダビデの統治はさらに堅く立つこととなった。

しかし、ミカルの心は冷えたままだった。彼女はダビデを嘲る言葉を口にしたため、彼女は生涯、子に恵まれることはなかった。

### **信仰の教訓**

この出来事は、神の御前で真実な心で仕えることの大切さを教えている。ダビデは、たとえ王であっても、神の前ではただの僕として喜び踊った。一方、ミカルは外見や体裁を重んじ、心から主を礼拝することを忘れた。

神は、形だけの礼拝ではなく、心からの賛美を求めておられる。歴代誌第一15章は、私たちに「どのように神を礼拝すべきか」を問いかけているのである。

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