聖書

詩篇3の物語 信頼の朝

**詩篇3に基づく物語:信頼の朝**

ある朝、ダビデ王はエルサレムの城壁の上に立ち、東の空がわずかに明るみ始めるのを見つめていた。夜の闇が薄れていく中、彼の心は重かった。息子アブサロムの反逆によって、都を逃れなければならなかったあの日から、彼の魂は激しい戦いの中にあった。

「主よ、なんと私の敵は多いことか」

ダビデは静かにうめいた。彼を取り囲む者たちは、彼が神に見捨てられたとささやき、助けはないと嘲った。彼の王座を奪おうとする者、彼の失敗を喜ぶ者——数え切れない敵が、彼の周りに立ちはだかっていた。

しかし、ダビデは顔を上げた。

「しかし、主よ。あなたは私の盾、私の栄光。私の頭を上げてくださる方」

彼は荒野を逃げ惑ったあの夜を思い出した。サウル王に追われ、洞窟に隠れていた時、神は彼を守り、ついには王として立ててくださった。今また、彼はその神に叫んだ。

「私は声をあげて主に叫び、主は聖なる山から私に答えてくださった」

夜が明け、ダビデはうずくまって眠りについた。敵の脅威の中、不安に押しつぶされそうな心だったが、彼は神に身をゆだねた。すると、驚くべきことに、彼は深い安らぎの中に包まれた。目を覚ますと、体には力がみなぎり、心には平安が満ちていた。

「私は恐れない。たとえ幾万の敵が周りを取り囲んでも」

ダビデは立ち上がり、剣を手に取った。彼はもはや逃げる者ではなかった。神が共におられるなら、誰が彼を倒すことができようか。

「救いは主のもの。あなたの祝福があなたの民の上にありますように」

太陽が完全に昇り、光が都を照らした。ダビデの顔には、確信に満ちた静かな微笑みが浮かんでいた。彼はもう敵の声に耳を傾けなかった。ただ、主の約束だけが、彼の心に響いていた。

**(終わり)**

この物語は、詩篇3篇のダビデの祈りを基に、彼の内面の戦いと神への信頼を描いています。敵の脅威の中でも、神が盾となり、栄光を与えてくださることを思い起こすダビデの姿は、現代を生きる私たちにも深い励ましを与えてくれます。

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