**知恵の道と愚かさの道**
ある日のこと、エルサレムの丘のふもとに、二人の男が住んでいました。一人はアビアタルといい、知恵を愛する敬虔な人でした。もう一人はナダブといい、自分の欲望のままに生きる愚かな者でした。二人は幼い頃から同じ村で育ちましたが、その歩む道は全く違うものでした。
アビアタルは毎朝、太陽が昇る前に起き、神に祈りを捧げました。彼は父から教えられた「**知恵ある者は父の教訓を聞き分ける**」(箴言13:1)という言葉を胸に刻み、律法を学び、正しい行いを求めました。彼の家には、貧しい者や旅人がよく訪れ、彼は喜んでパンと水を分け与えました。彼の畑は豊かに実り、倉には収穫が溢れました。なぜなら、**勤勉な者の魂は豊かに満たされる**(箴言13:4)からです。
一方、ナダブは怠惰で、快楽だけを追い求めました。彼は「**不遜な者は戒めを軽んじる**」(箴言13:1)という言葉を笑い、夜ごとに酒宴を開き、友人と騒ぎました。彼の畑は荒れ、種を蒔いても雑草に覆われ、収穫はほとんどありませんでした。それでも彼は「明日は明日の風が吹く」と言い、働くことを嫌いました。
ある年、大旱魃が村を襲いました。雨は降らず、大地は乾ききっていました。アビアタルは蓄えていた穀物を村人に分け与え、皆で助け合いました。彼は「**正しい者の光は輝き**」(箴言13:9)の通り、希望の灯となりました。しかし、ナダブは蓄えがなく、飢えに苦しみました。彼はアビアタルの家に行き、食べ物を乞いました。
アビアタルは彼を見て、悲しみながらも言いました。「**悪い仲間は人を滅ぼす**(箴言13:20)。なぜあなたは父の教えに耳を傾けなかったのか?」
ナダブは悔い、涙を流しました。「わたしは愚かだった。知恵の道を捨て、欲望に従ってしまった。」
アビアタルは彼にパンを与え、こう言いました。「**戒めを守る者は幸いを得る**(箴言13:13)。今日から、共に正しい道を歩もう。」
それからナダブは心を改め、アビアタルと共に神に従う者となりました。村人たちは、二人の姿を見て、知恵の尊さを学びました。
こうして、**知恵は命の木となり、それを保つ者は幸いを得る**(箴言13:12)という真理が、再び人々の心に刻まれたのでした。