**ミカ書4章に基づく物語:平和の王国の到来**
かつて、ユダの山地にそびえる小さな町モレシェに、預言者ミカという人が住んでいた。彼は主の声を聞き、人々に神の言葉を伝える使命を帯びていた。ある日、ミカは深い幻を見た。それは、遠い未来に起こる驚くべき光景であった。
### **幻の始まり**
ミカの目の前に、とこしえの山々が現れた。その中でも最も高い山は、すべての峰よりも威厳に満ち、天に届くかのようだった。それは主の家の山、シオンであった。その山は固く立てられ、すべての民がそこに流れて来るようになるのだ。
「終わりの日に、主の家の山は、もろもろの山のかしらとして堅く立ち、もろもろの峰よりも高くそびえる。民はこぞってこれに流れ、多くの国々が来て言うようになる。『さあ、主の山に登り、ヤコブの神の家に行こう。主は私たちにみ道を教え、私たちはその道に歩もう』と。」
ミカはその声を聞き、胸が熱くなった。遠くから、東からも西からも、無数の人々が巡礼のようにこの山を目指して集まってくる。王も、農民も、商人も、老人も子供も、あらゆる民族が一つになって主を礼拝する。彼らの顔には喜びが満ち、唇からは賛美が溢れていた。
### **平和の王国**
さらに幻は進み、ミカは驚くべき光景を目にした。人々は剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。もはや戦いの訓練はなく、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いを学ばない。
「彼らはその剣を打ち直して鋤とし、その槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦いを学ばない。」
ミカはその平和の情景に目を潤ませた。かつて戦場となった谷間には、黄金の麦が風に揺れ、人々は安心して葡萄の木の下に座り、いちじくの木の陰で憩う。誰も恐怖に怯えることなく、すべての人が自分のぶどうの木と、いちじくの木の下で安らぐ。主ご自身がこの平和を約束しておられるのだ。
### **残された者たちの希望**
しかし、幻はまだ終わらなかった。ミカは、主の言葉を聞いた。
「わたしは、打ち砕かれた者を集め、追いやられた者を呼び寄せ、苦しめた者を連れ戻す。打ち砕かれた者をわたしは残りの民とし、追いやられた者を強い国民とする。主はシオンの山で、今よりとこしえに、彼らを治められる。」
ミカはこの約束に心を打たれた。たとえ今、イスラエルが苦しみの中にあっても、主は必ずご自分の民を集め、再び立たせてくださる。シオンは再び栄え、主の支配は永遠に続くのだ。
### **現在の苦しみと未来の栄光**
幻は消え、ミカは現実に戻った。周りには、依然として争いと不正が満ちていた。強国アッシリアの脅威に震える民、貧しい者を虐げる指導者たち。しかし、ミカの心には確信があった。
「今は苦しみの時かもしれない。しかし、主の約束は真実だ。やがて来る日には、すべての民が主の下に集い、戦いのない世界が来る。主は私たちを癒し、再び立たせてくださる。」
ミカはこの幻を語り、人々に希望を与えた。たとえ今は暗闇の中でも、主の光は消えることがない。終わりの日には、すべての民が主の平和の御国に与かるのだ。
こうして、ミカの言葉は世代を超えて受け継がれ、やがて来るメシアの王国を指し示す希望の預言となった。主の約束は変わらず、シオンの山は永遠に堅く立つのである。