**幕屋の設計:神の御心にかなう聖なる住まい**
イスラエルの民がエジプトを脱出してから、シナイの荒野にたどり着いたとき、神はモーセを山に呼び上げ、彼に幕屋の建設について細かく指示を与えられた。その中でも特に、幕屋そのものの構造についての啓示は、神の栄光を現すための精巧なものであった。
神はモーセに言われた。
「幕屋を十枚の幕で造らなければならない。それらは撚糸(よりいと)で織った亜麻布と、青、紫、緋色の糸を用い、巧みな技でケルビムを織り出さなければならない。それぞれの幕の長さは二十八キュビト、幅は四キュビトとし、すべて同じ寸法でなければならない。」
モーセは神の言葉を心に刻み、民の中から最も優れた工匠たちを選び、この聖なる任務に当たらせた。彼らは神から与えられた知恵と技術をもって、細やかな刺繍を施し、一枚一枚の幕に神の栄光を映し出すかのようなケルビムの姿を織り込んでいった。青い糸は天の輝きを、紫は王の威厳を、緋色は贖いの血潮を象徴していた。
さらに神は続けて命じられた。
「五枚の幕を互いにつなぎ合わせ、もう五枚も同じようにせよ。そして、つなぎ合わせた幕の端には青い紐の輪をつけ、互いに対応するようにせよ。こうして幕屋は一つとなり、わたしが臨在する聖なる場所となる。」
工匠たちは神の指示に従い、幕を組み合わせ、金の留め具で固定した。幕屋の内部は、神の栄光で満たされるための完全な空間として仕上げられた。その上には、やぎの毛で織った幕を重ね、さらにそれを覆うように赤く染めた雄羊の皮、そして最も外側には耐久性に優れたじゅごんの皮がかけられた。
こうして幕屋は、外見こそ質素であったが、内部には神の栄光が宿るにふさわしい壮麗な空間となった。神はこの幕屋を通して、ご自身が民と共におられることを示されたのである。
モーセは完成した幕屋を見て、心から神を賛美した。
「主は真に私たちと共におられる。この聖なる幕屋は、神の臨在のしるしである。」
こうして、イスラエルの民は神の指示に従い、幕屋を完成させた。それは単なるテントではなく、神が共に住まわれる聖なる場所であり、民の信仰の中心となったのである。